メキース代表のプッシュで新型フロアを投入。準備を間に合わせたチームの手厚いサポートに角田も感謝/F1 Topic
なぜ、レッドブルは角田裕毅のフロアをF1第13戦ベルギーGPのスプリントの後に変更したのか。それは現在のスプリントフォーマットと関係している。現行のレギュレーションでは、スプリント予選や予選が始まって最初にコースインした瞬間に、マシンはパルクフェルメ状態となる。
つまり、スプリント予選を旧フロアでアタックした角田は、スプリントまでは旧フロアを使用し続けなければならない。もし、異なる仕様に変更してスプリントに参加すれば、ピットレーンスタートとなる。
パルクフェルメ・ルールはスプリント及び決勝レースのスタートが切られた瞬間に解除される。これにより、スプリントを終えた角田は、ペナルティなしでフロアの仕様を変更できることになった。
F1 Topic(編注:レッドブル、角田にも新型フロアを投入へ。ベルギーGP予選からとテクニカルディレクターが明言/F1 Topic)では、テクニカルディレクターのピエール・ワシェが「昨夜ファクトリーから新しいフロアが届いたので、土曜日の予選からユウキのマシンに投入する」と書いたが、その後の取材で、角田のマシンに搭載された新しいフロアは、スプリントまでチームメイトのマックス・フェルスタッペンのスペアパーツだったことが明らかになった。
つまり、今回のフロア変更がスプリント後になった理由を整理すると、次のようになる。
(1)ベルギーGPが始まる前までは、最新スペックのフロアは全部で3つあって、そのうちひとつが角田に与えられる予定だった。しかし、ベルギーGPはスプリントフォーマットであり、クラッシュするリスクも高いため、フェルスタッペン用のスペアパーツを通常よりも多いふたつ用意しておきたかった。そのため角田に与えられるはずだった最新フロアがフェルスタッペンに回された。
(2)スプリントが始まり、フェルスタッペンがアクシデントに見舞われる可能性がなくなったのを確認して、レッドブルはフェルスタッペン用にふたつ用意していたスペアの最新仕様のフロアのうち、ひとつを角田に回すことを決断。
(3)スプリントが終了するのを待って、メカニックたちが大急ぎでフロアを変更した。
ぶっつけ本番でのフロア変更に、不安がなかったわけではない。しかし、それよりもチームによる手厚いサポートが、角田にとっては何よりも勇気づけられるものだった。
「ぶっつけ本番で使うのに、少し不安もありました。ただ、メカニックたちがすごく頑張って、本当だったら間に合わないものを間に合わせてくれたので、使用させてくれたチームに感謝しています」
この変更を最終的に誰が決断したのかについては、レッドブルは明かしていない。しかし、ディエゴ・メンチャカはこう明かしてくれた。
「彼がプッシュしてくれたんだ」
メンチャカが指差す先にいたのは、このグランプリからクリスチャン・ホーナーに代わってレッドブルのチーム代表となったローラン・メキースだった。この日、スプリントでフェルスタッペンが優勝。予選では角田がレッドブルでの予選最高位を獲得。メキース体制は1戦目から見事に機能し始めている。