「SQ3を逃し残念」2段階落ちの旧型フロア使用は前日に確認。代表交代でも現場は混乱なし【角田裕毅F1第13戦展望】
クリスチャン・ホーナー代表が電撃解任されたことが公になった7月9日、シルバーストン・サーキットではレッドブルがTPC(Testing of Previous Cars=旧車テスト)を行っていた。TPCに参加していたホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は、こう振り返る。
「テストをしていたら、ガレージで横にいたレッドブルのエンジニアたちが、社内ブロードバンドを見ていて、それで知りました」
ホーナーが従業員にお別れのあいさつをすると、ガレージにいたスタッフたちが一斉に「お、おー」と驚いていたという。
しばらくして、ホーナーに代わって新しくチーム代表となったローラン・メキース代表がサーキットにやってきて、ガレージにいたスタッフたちひとりひとりに挨拶したという。
チーム代表が交代するという変化はあったものの、現場のスタッフに混乱はない。
「いまのところ、現場のオペレーションに関しては、特に変更はありません。スパに来てからも、いつものグランプリと同じで、特に緊急ミーティングが開かれるということもありませんでした」
そのベルギーGPで当初、角田裕毅は新しいフロアを使用する予定だった。しかし、その予定は直前に変更されたと、テクニカルディレクターのピエール・ワシェが明かした。
しかし、角田に落胆している様子は見えない。
「確かにこのベルギーGPで使用する予定になっていて、チームは一生懸命仕事をしてくれたのですが、残念ながら、昨日チームとミーティングして、僕が使用しないことを確認しました。だから、今回もチームメイトに比べると2段階ステップダウンした旧スペックです。各チームの力が接近しているので、彼らと旧スペックで戦うのは厳しい状況ですが、僕にできることは自分の持っているパッケージのポテンシャルを最大限に引き出すことだけです」
スプリント・フォーマットで開催された今年のベルギーGP。初日に行われたスプリント予選で、角田はSQ1を突破したものの、SQ2はトップ10まで100分の6秒届かず、12番手に終わった。
「中団グループは非常に接近しているので、100分の6秒差でSQ3進出を逃したのは残念です」
スプリント予選後、そう語った角田。100分の6秒先にいたのは、スプリント予選でトップタイムをマークしたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)だった。満足な結果は出ていないが、徐々にRB21を乗りこなし始めたようだ。