フェラーリ、新型リヤサスペンションをベルギーで導入へ。シーズン後半の命運を握る重要なアップデートに
スクーデリア・フェラーリは、数カ月にわたって準備してきた改良型リヤサスペンションを第13戦ベルギーGPで投入する決定を下したようだ。先週、ムジェロで行われたテストで、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンが、このサスペンションを短時間ながら試用した。
この日、フェラーリは今季最後のフィルミングデーを実施、ふたりはそれぞれ19周を走った。レギュレーションで走行距離200kmの制限が設けられるなか、ルクレールは午前中に、ハミルトンは午後に走行を行った。
テストは非公開で行われ、情報発信用に遠距離から映像が撮影されたものの、実質的には“フィルミングデー”というよりも、シーズン後半のフェラーリの運命を変える可能性のある重要なメカニカルアップグレードを試すための機会だったことは明らかだ。
今のところ近接写真が存在しないため、新型リヤサスペンションについては想像図しかない。しかし、フロントウィッシュボーンのギヤボックスへの接合点が従来よりも低い位置に変更されたことは判明している。
この変更の着想は、昨年テクニカルディレクターに就任したロイック・セラによるものだ。彼は以前在籍していたメルセデスにおいても同様の設計を手掛けており、そのアイデアは今年のW16にも採用されている。この変更はアンチスクワット効果(加速時のリヤの沈み込み抑制)を高め、空力荷重が急激に失われた際に起きる突発的なマシン挙動を抑えることが期待されている。
このアップグレードの目的は、路面からの車高が変化する際にマシンをより安定させることだ。中国GP以降、SF-25は満タン状態で限界走行を行う際に非常に繊細で、セッティングの微調整が困難であることが明らかになっていた。
ハミルトンは上海でのスプリントレースでは、ポールポジションを獲得し、勝利を収めたが、それは燃料タンクが3分の1しか満たされていない状態だった。しかし、決勝で車重が大幅に増えて、車高が低くなった際には、全く戦えなかった。
チーム関係者によれば、ハミルトンは今回のリヤサスペンションの変更による効果に対してかなり満足していたが、ルクレールはSF-25のハンドリングに大きな変化はないと考えたようだ。
それでも、フェラーリはこの改良型リヤサスペンションをベルギーGPに持ち込むという決定を下したとみられている。スパ・フランコルシャンはスプリントイベントであるため、スクーデリアが新パーツに関するデータを収集するために使えるフリープラクティスは、1時間の1回しかない。
さらにフェラーリにとって厳しいのは、週末を通して雨の予報が出ている点だ。つまり、新型リヤサスペンションがドライコンディションで本当に有効であるかどうかを確認できないまま、次のハンガリーGPに望まなければならないリスクがあるということになる。