2025.07.16

「挑戦を続ければ次に繋がる」角田起用に見えるレッドブルの大きな期待。早期交代論はなし/ホンダHRC渡辺社長インタビュー


角田裕毅(レッドブル)と渡辺康治HRC社長
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 ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長がシルバーストン・サーキットで開催された2025年F1第12戦イギリスGPを訪れた。角田裕毅(レッドブル)とも久しぶりに顔を合わせた渡辺社長は、その角田について、今後も全面的にサポートを続けることを明言。またシートをめぐる噂については「交代の議論はない」と否定した。

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──渡辺社長がサーキットの現場にいらっしゃるのは第3戦日本GP以来だと思います。日本GP以降、第12戦イギリスGPまでの角田裕毅選手の走りをどのように見ていましたか。

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(1)
日本GP以来の久しぶりの再会を喜ぶ角田と渡辺社長

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):「外から結果だけを見ている限りは、思っていた以上に苦戦しているなというのが正直な感想です。ただ、裕毅とも連絡を取り合って、いろいろと話を聞くと、こちらが思っているよりもポジティブにとらえているようです。クルマの戦闘力が向上し、いいきっかけをつかむことができれば、まだまだやれると思っています。そのために我々HRCとしては、今後も変わりなく全面的にバックアップしていきます」

──なかなか結果が出ないことで、ヨーロッパのメディアのなかには夏休みで交代するのではないかという記事もありますが、内部でそういう議論はあるのですか?

渡辺社長:「まず、そう(夏休みで交代すると)いう議論は行われていません。そもそも、3月に行われたレッドブルとの話し合いで、『少し成績が悪いからといって、すぐに交代する議論を始めるようなことはしないで、長い目でしっかりと見ていく』ことで、裕毅をレッドブルに移籍させることに我々は合意していました。だから、夏休みで交代するとも思っていません。いろいろな噂が出ていることは承知していますが、今回イギリスGPが行われたシルバーストンでもチームと確認しましたが、基本的には今シーズン最後まで、裕毅がレッドブルでレースするという方向になっていることはハッキリと申し上げておきたい。それはレッドブルの裕毅に対する期待値の高さの表れでもあると思っています。その期待値はいまもなお変わりなく、後半戦のどこかで結果に結びつけば、今後に向けて可能性が広がっていくと思います」

──とはいえ、レッドブルのマシンが突然性能を向上させるとは思えないので、今後も厳しい戦いが続きそうなことは間違いありませんよね?

渡辺社長:「ポジティブにとらえれば、レッドブルがこのまま終わるとは思っていません。必ず、戦闘力を上げて、復活してくると信じています。レッドブルもクルマに関しては改善すべき点が残っていると自覚しています。私はレッドブルがトップチームの一角であると間違いなく思っています。だから、裕毅にとっていま大切なことは、レッドブルのマシンでチャレンジし続けることが次につながると思います」

──今年のレッドブルのマシンが扱いづらいというのは理解できるのですが、チームメイトのマックス・フェルスタッペンとの差が大きいのが気になります。

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(1)
握手を交わすフェルスタッペンと渡辺社長

渡辺社長:「マックスがずば抜けたドライバーで、そこにはまだ及んでいないということだと思います」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(1)
左から本田技研工業の三部敏宏社長、フェルスタッペン、渡辺社長

──角田選手の来年のシートに関して、いろいろな噂が出ています。ホンダは以前から「サポートはするが、独り立ちして一番いい選択をした結果が我々がパワーユニットを供給するチームでなくてもいい」というスタンスをとっています。最近、キャデラックに行くのではないかという噂もありますが、問題ないですか。

渡辺社長:「ありません」

──トヨタと業務提携しているハースは?

渡辺社長:「問題ありません。チーム・トヨタではありませんから」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー(1)
角田のマネージャーのディエゴ・メンチャカと話す渡辺社長

──レッドブルとのドライバー育成に関しても2025年で終了します。現在、レーシンク?フ?ルス?のリザーブドライバーを務めている岩佐歩夢選手の今後についてお聞かせください。

渡辺社長:「まずは本人の意思。それが一番大事です。それから、岩佐選手についてはレッドブルがリザーブドライバー契約を持っていて、シミュレーター作業なども行っています。そこに優先権があるので、岩佐選手の意思とともに、レッドブルの意思も見極めながら、我々としてどのように岩佐選手の今後を判断していくかということになると思います。ホンダ陣営に来るとか来ないとかという段階ではいまはありませんが、彼に対してもHRCとしてしっかりとサポートしていきたいとは思っています」

──国内でのレース活動については、今年ここまでどのように評価していますか?

渡辺社長:「今シーズンはここまでまだ優勝していないので、正直に言わせてもらうと、もう少し頑張らないと先の広がりが限定されてくるでしょう。本人にもそのことは伝えており、自分が置かれた状況は十分理解していると思うので、結果が出ることを期待したいです」

──角田、岩佐に続く、若手は?

渡辺社長:「加藤大翔(たいと)であるとか、佐藤凛太郎(父・佐藤琢磨)であるとか、野村勇斗(ゆうと)であるとか、今後が期待できる若手がどんどん出てきているので、エグゼクティブ・アドバイザーの佐藤琢磨や中野(信治/エグゼクティブ・ディレクター)、纉c(哲宏/元二輪部門レース運営室室長)と相談しながら、次のステップを決めていきます。8月の後半ぐらいから、社内での議論を本格化させていく予定です」



(Text : Masahiro Owari)

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