2025.06.07

走行経験とマシンアップデートを味方に、予選で僚友を上回り自己最高グリッド獲得のボルトレート【ルーキー・フォーカス】


2025年F1第9戦スペインGP ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
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 モンテカルと市街地サーキットとは対照的に、2025年F1第9戦スペインGPの舞台であるカタロニア・サーキットは、ルーキーにとって、今シーズンのF1のカレンダーのなかで実力を出しやすいサーキットのひとつだろう。FIA F2時代はもちろんのこと、それ以前のカテゴリーで数多くのレースをここで行い、腕を磨いてきたからだ。

 今年のスペインGPにはF1のレース出走3戦以下のルーキードライバーが4人(アンドレア・キミ・アントネッリ/メルセデス、オリバー・ベアマン/ハース、アイザック・ハジャー/レーシングブルズ、ガブリエル・ボルトレート/キック・ザウバー)参戦したが、4人すべてがQ1を突破。これは今シーズン9戦目にして、はじめてのことだった。

 そのなかでも、輝いていたのがボルトレートだった。予選は自己最高位の12番手を獲得。カタロニア・サーキットは2022年のフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップのレース2で優勝した経験があった。

 もちろん、この12番手獲得の背景にはキック・ザウバーのアップデートがあったことは間違いない。今回キック・ザウバーはフロントウイング、フロア、エンジンカバーをアップデートしてきたが、フロアを改善したことでダウンフォースが安定して発生するようになった。チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグはQ1で敗退したが、15番手のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)との差は0.051秒差。最終セクターでのロスがなければ、2台そろってQ2に進出していただろう。

【ルーキー・フォーカス】
2025年F1第9戦スペインGP ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)のC45

 Q2に進出したボルトレートには、Q3にも進出できるペースはあった。ただし、中団グループは大接戦。最後のアタックに出る前、ボルトレートはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が自分のピットの前を通り過ぎたら、ピットアウトするつもりでいたという。「マックスのトウ(スリップストリーム)を利用して、少しでもラップタイムを稼ぎたかった」(ボルトレート)からだ。

 じつはボルトレートとフェルスタッペンはシムレース仲間で、ゲームのなかでふたりはよくスリップストリームを使い合っていたという。しかし、1回目のアタックでQ3進出に十分なタイムを刻んでいたフェルスタッペンが、2回目のアタックに出ることはなかった。フェルスタッペンのスリップストリームを使うことができなかったボルトレートは、10番手のピエール・ガスリー(アルピーヌ)に0.145秒届かず、Q2で敗退した。

ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
2025年F1第9戦スペインGP ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)

 さらにレースでは1回目のピットストップを延ばしたことが裏目に出て、ライバル勢にアンダーカットされ、大きくポジションを落としてしまった。そのため、2回目のピットストップを遅らせて、新品のソフトタイヤでレース終盤に追い上げる戦略に変えた。

 しかし、前を走るライバル勢のタイヤが厳しくなり始めた54周目にアントネッリのトラブルでセーフティーカーが導入される。そのため、前を走るライバル勢の多くがポジションを落とすことなくタイヤ交換したため、ボルトレートの終盤の追い上げはかなわなかった。

 対照的にチームメートのヒュルケンベルグは、早めの1回目のピットストップとセーフティーカー導入を味方につけて、5位を獲得。それでも、ボルトレートはチームの今季2度目の入賞を喜んだ。

「まず最初に、ニコとチームに祝福を送りたい。この結果はアップグレードの効果がどれだけ機能したかを証明している。マシンのパフォーマンスは確実に上がっており、今後に向けてモチベーションが高まった。2週間後のモントリオールで結果を出すため、すぐに仕事に戻り、準備を整えたい」

【ルーキー・フォーカス】
2025年F1第9戦スペインGP グリッドでSky Sportsのインタビューを受けるガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)


(Text : Masahiro Owari)

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