鈴鹿でのコース脇火災を受け、FIAが安全対策を推進。マシンからの火花を抑えるため底面へのチタン使用を制限か
FIAは、F1日本GPの週末、コースサイドの芝生で火災が発生したことを受け、同様の事象の再発を防ぐ方法を検討し、リスクを最小限に抑えることを目的とした提案をチーム側に提示した。
昨年の中国GPのフリープラクティスにおいて、コース脇の乾燥した草に、マシン下部から飛び散った火花が接触して発火するという事象が発生した。この際には、一度きりの出来事として、FIAはこの状況の再発防止に向けた対策には踏み切らなかった。
しかし今年の日本GPで、セッション中に複数回にわたり芝生火災が発生、何度も走行が中断される事態となった。レース当日は、スタート数時間前まで降り続いた雨により、草が濡れていたため火災に直面することを避けることができた。
シャシー底部に取り付けられたプランク(スキッドブロック)には丸い金属片が装着され、これはプランクの過剰な摩耗を防ぐと同時に、マシンの重量配分や操縦性の面で有用な役割も担っている。FIAは2015年にタングステンの使用を禁止した。これは、事故時に車両から金属片が飛び散る際の挙動に対する深刻な懸念があったためである。
FIAとF1は当時、軽量であることに加え、火花を発生させやすくショーアップ効果が期待できるという理由から、チタンを使用することを選択した。そして過去10年間、F1は、ファンを楽しませるために、マシンが底をついた際に飛び散る火花の光景を利用してきた。
しかし今、現行の技術規則が導入されて以来、マシンの車高がかつてないほど低くなったことで、火花の飛び散る頻度が著しく増加し、中国と日本でコース脇での火災が発生する事態となった。
FIAによる迅速かつ徹底的な調査の結果、火災の原因はチタン片が原因であると結論付けられたため、FIA安全グループは、コース周囲が草地に囲まれている従来型サーキットにおいて、今年末までスキッドブロックに使用される金属パーツとして、スチール製の使用を義務化するよう勧告した。
次のマイアミGP、さらにはモナコ、アゼルバイジャン、シンガポール、ラスベガス、カタール、アブダビにおいては、変更は必要とされない。しかしその他については、FIAはこの変更を望んでおり、イモラでのエミリア・ロマーニャGPからの適用を目指している。
スチール合金の破片はチタンの破片よりも早く冷えるため、乾いた草に発火をもたらす可能性が低いことは明らかである。しかしチーム側はこの変更に抵抗している。スチールはチタンより約3倍重く、マシン全体の重量および重量配分に大きな影響を与える可能性があるからだ。
4月24日に開催されたF1コミッション会合の後、FIAは、「代替スキッド素材(スチール)の検討および一部のサーキットに対する処理の可能性を調査することが合意された」と述べている。