コラピントのスポンサーに支払い遅れの噂。交代が噂されるドゥーハンは好ペースを発揮、プレッシャーも和らぐか
アルピーヌのジャック・ドゥーハンがF1第4戦バーレーンGPでパフォーマンスを向上させた一方で、同チームのリザーブドライバーを務めるフランコ・コラピントのスポンサーの一部に疑惑が生じた。これにより、ドゥーハンにかかるプレッシャーは和らいだようだ。
かなり長い間、コラピントがドゥーハンと交代するのは確実だと言われてきた。ドライバーの交代は、第6戦マイアミGPで行われると考える者もいれば、第7戦エミリア・ロマーニャGPがコラピントにとってA525での最初のレースになると考える者もいた日本GPのFP2でドゥーハンが起こした不必要かつ手痛いクラッシュは、こうしたうわさを煽っただけだったが、1週間後のバーレーンでは、ドゥーハンの差し迫った悲運については一切触れられなかった。
今年これまでのところ、A525がどこよりも優れたパフォーマンスを発揮したバーレーンで、ドゥーハンは週末の初めからペースを上げていた。彼は、このマシンのテストを行ったよく知るコースであれば、はるかに経験豊富なチームメイトのピエール・ガスリーに匹敵できることを証明しようと決意を固めているように見えた。チーム関係者によると、ドゥーハンはFP1でガスリーから0.9秒遅れの7番手につけたが、彼らは別のプログラムを実行していたという。夕方のFP2では、ドゥーハンが優位に立って14番手につけ、ガスリーは0.159秒遅れで3つ下の順位となったが、この結果はドゥーハンの士気を高めるものだった。
ドゥーハンの進歩は土曜日に見えた。FP3ではガスリーより0.3秒以上遅い12番手だったが、予選では大きな飛躍を遂げたのだ。Q1の終わりに非常によいラップをまとめたドゥーハンは、Q1終了時点で5番手となり、ガスリーより100分の数秒速いタイムを出し、余裕を持ってQ2に進出した。Q2でドゥーハンは10番手の角田裕毅(レッドブル)とわずか0.017秒差でQ3を進出を逃したが、キャリアベストの11番グリッドを獲得した。
ドゥーハンはレースの第1スティントでポジションを維持し、9周目という早めのタイミングでピットインしたドライバーのひとりとなった。最初のタイヤ交換終了後に、アンダーカットにより9番手まで順位を上げ、角田、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)を追い抜いたが、エステバン・オコン(ハース)には及ばなかった。第2スティントでは力強い走りでレッドブルとウイリアムズのドライバーたちを抑えたが、ハミルトンの圧倒的なスピードには歯が立たず、10番手に落ちた。
28周目にダブルピットストップを行うというチームの決定は、ガスリーとドゥーハンにもう一度アンダーカットの可能性を与えることが狙いだった。ドゥーハンは9番手まで順位を上げていたが、セーフティカーの導入により、F1で初めてポイントを獲得するチャンスは阻まれてしまった。
中古タイヤを履いていた彼は数人のライバルに追い抜かれ、5秒のペナルティを受けてアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)に順位を奪われ、14位でレースを終えた。それでもレース後、チーム代表のオリバー・オークスは、次のようにドゥーハンのパフォーマンスを称賛した。
「ジャックはレース序盤と週末を通して有望なペースを見せた。彼は、レースではハードタイヤのマネジメントに苦しみ、残念ながら最後のスティントで後退してしまった」
その一方で、コラピントのスポンサーのうちの1社による支払いが遅れているという未確認の噂が、バーレーンのパドックに伝わっていた。このふたつのことが重なったことで、ドゥーハンはアルピーヌ内での地位を確立し、グランプリのルーキーシーズンで進歩を続けるための時間を、もう少し稼ぐことができるかもしれない。