SCにより、最終スティントでハードタイヤを強いられたフェラーリ。ソフトでの24周は「できなかっただろう」と代表
フェラーリは、2025年シーズン開幕から4回のグランプリでまだドライバーを表彰台に送っていない。チーム代表のフレデリック・バスールは、第4戦バーレーンGPではシャルル・ルクレールがオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に次ぐ2位でフィニッシュするはずだったが、32周目にセーフティカー(SC)が導入されたことでチームは戦略変更を余儀なくされ、レース開始前に選択していた利点が打ち消されてしまったと考えている。
バーレーンGPの決勝レースでは、15台がソフトタイヤを選択したのに対し、フェラーリは両ドライバーにミディアムタイヤで57周のレースをスタートさせた唯一のトップチームだった。ライバルたちよりも硬いタイヤでスタートしたルクレールは、1周目に4番手に後退したが、一方でルイス・ハミルトンはスタートダッシュの速かった角田裕毅(レッドブル)に対して9番手を維持した。
フィールドの先頭では、ピアストリに対抗できるドライバーは誰もいなかった。しかし、フェラーリにとって心強いことに、ソフトタイヤでスタートしたラッセルとノリスにルクレールがついていけており、彼らよりもスティントをずっと長く続けられることがわかっていた。その後、チャンピオンシップリーダーのノリスがまず10周目にピットインを行った。ラッセルが13周目にピットインした時には、セーフティカーの介入に備えてピアストリが次のラップでピットストップを行うことは明らかだった。
これにより、ルクレールとハミルトンのワン・ツー体制になり、17周目にダブルピットストップを実施して、2セット目のミディアムタイヤで40周目まで走行できる状態になった。周囲のドライバーよりも新しいタイヤを履いたルクレールは、24周目にノリスを抜いて3番手になったが、ラッセルを追い抜くだけの力は残っていなかった。当然ながら、計画では40周目あたりでソフトタイヤを履いてメルセデスのドライバーをアンダーカットするはずだったが、レースディレクターがコース上のデブリを除去するために32周目にセーフティカー導入を決定したため、その計画は頓挫した。
メルセデスはラッセルにソフトタイヤを履かせて最後の24周を走らせるという対応をとったが、バスールはこのプランを「リスクが高く、攻撃的な選択」だと考えた。バスールは、「何周延ばせるかによって、最後の段階で新品のハードタイヤか、磨耗したソフトタイヤかを選択できる柔軟性があった」と振り返った。
「セーフティカーが入ったことで、少なくとも我々の視点からは、選択の余地がなくなった。ラッセルも、ある時点では24周を走るのは非常に野心的だと考えていたのではないかと思うが、最終的にはそれが功を奏した。我々のマシンではあんなことはできなかっただろう……」
「最初の戦略はよかった。第1スティントを少し延ばすために犠牲を払ったが、その後のペースは非常に速く、最後までよいペースだっただろう。それでも、セーフティカーについて文句を言うことはできない。それはゲームの一部だからだ」
「セーフティカーがなければ、ラッセルとノリスより数周遅れてピットストップを行っていたはずだし、他のマシンのパフォーマンスに応じてハードかソフトかを選ぶ選択肢があったはずだ。しかし、残り24周くらいでSCが導入されると、それはもはや選択肢ではなくなった。いずれにせよ、戦略の面では少々混乱していた」