「完璧だ。それしか言えない」フェルスタッペンでなければ不可能だったポール・トゥ・ウイン【F1第3戦無線レビュー(2)】
2025年F1第3戦日本GP。大きなアクシデントなどもなく迎えたレース後半、首位マックス・フェルスタッペンを追うマクラーレン勢が、順位の入れ替えを議論していた。3番手オスカー・ピアストリはフェルスタッペンに追いつけると主張するが、果たして。日本GP後半を無線とともに振り返る。
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中盤21周目、ランド・ノリス(マクラーレン)がピット出口でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に押し出されたかに見えた攻防は、結局お咎めなしとなった。
9番グリッドスタートのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、背後のオリバー・ベアマン(ハース)と9番手争いを繰り広げていた。かなり厳しい戦いだからか、アルボンの苛立ちはレース中盤になってもなかなか治らない。
25周目
アルボン:君らのやってることはまったく無意味だ。馬鹿げている!
ジェームズ・アーウィン:ベアマンがピットインしたからだ。
アルボン:その前の話だよ!
アーウィン:信じてくれ。もっと悪くなっていた可能性もあった。
不満だったのはピットインのタイミングではなく、「その前」のようだが、具体的に何だったのかは不明だ。最終的にアルボンは、スタート時の9番手を維持したままチェッカーを受けた。
28周目
リアム・ローソン:少し雨粒が落ちてきたみたい。
エルネスト・デジデリオ:了解だ。いい仕事をしてるぞ。サインツを引き離している。
わずか2戦でレッドブルからレーシングブルズに移籍になったローソンに、担当エンジニアは何とか自信を回復させようとしているようだ。
ハードタイヤでスタートしたエステバン・オコン(ハース)は、18番グリッドから中盤には12番手まで順位を上げた。背後には10番グリッドから終始入賞圏内を走り、ハードタイヤに履き替えたばかりのチームメイト、ベアマンが迫っていた。
32周目
ラウラ・ミュラー:ターン14の出口でスワップだ。
オコン:次の周に譲るよ。
36周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):メッセージがクリアじゃなかったかもしれないが、ここからプッシュし続けていいぞ
7番手のルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、自分の後釜に座ったメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリになかなか追いつけない。
37周目
ハミルトン:ペースが遅いんだけど。情報くれる?
リカルド・アダミ:ターン8、9、13、14だ
ハミルトン:いや、どれくらいか知りたい。
アダミ:コンマ1秒だ。
長年連れ添ったピーター・ボニントンだったらハミルトンの要求を理解して、もっとスムーズにコミュニケーションしていたことだろう。
40周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):さっきの(フラップの)アジャストが間違っていた可能性がある。
フロントウイングのフラップを調整したのだが、どうやらミスがあったらしい。それでもフェルスタッペンのペースは衰えず、首位をキープし続ける。レース終盤、2番手ノリスがなかなか1秒以内に入れない一方、背後のオスカー・ピアストリはチームメイトのDRS圏内に入っていた。
42周目
ピアストリ:ランドがタイヤをセーブしているなら、僕が行く。僕にはマックスに追いつくペースがある。
僕を先行させろというピアストリ。しかしノリスとの順位入れ替えはなかった。
トム・スタラード:ノリスのペースだ。
ピアストリ:わかった。でもさっき言ったように、僕のペースならマックスに追いつける。
48周目
ボニントン:現在最速だぞ
アントネッリ:全開で攻めてるよ!
アントネッリはこのレースで6位に入り、史上最年少のリードラップ、そしてファステストラップ記録を更新した。
優勝はフェルスタッペン。日本GPでの4年連続ポール・トゥ・ウインを達成した。
ランビアーゼ:完璧だ。それしか言えない。
フェルスタッペン:みんな、ありがとう。信じられない週末だった。あんなに難しい状況からスタートして、何とか跳ね返すことができた。みんなが決して諦めず、ベストを尽くしてくれたおかげだ。
まさに王者フェルスタッペンでなければなし得なかったポールポジション、そして勝利だった。