2025.04.10

F1日本GPで驚きの勝利を挙げたフェルスタッペン。陰の功労者としてシムドライバーの貢献を称える


2025年F1第3戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
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 日本GPの週末にレッドブルが状況を大きく好転させたのは、マックス・フェルスタッペンの完璧なパフォーマンスであることは間違いないが、もうひとつチームの成功に大きく貢献した要因があった。FP2後からFP3が始まるまでの間に、ミルトン・キーンズのファクトリーで、良いセットアップを見つけるための懸命な取り組みがなされなければ、フェルスタッペンは強力なマクラーレンのペアに勝つことはできなかっただろう。

 フェルスタッペンは、FP1では、トップのランド・ノリスより0.5秒遅い5番手に沈んだ。FP2でもその差は変わらず、午後にオスカー・ピアストリが記録した最速タイムからやはり0.5秒遅れていた。他のチームは改善するなかで、7番手に順位を落としたフェルスタッペンは、RB21はアンダーステアが強すぎて、自分の思いどおりにコーナーに鋭く切り込むことができないと述べ、やるべきことが多いと認めた。

 FP3でもその差は変わらず、フェルスタッペンは5番手だった。しかし金曜夜にシミュレーターを使って多くの実験が行われ、フェルスタッペンが新しいセッティングの真のポテンシャルを引き出すことに成功したことにより、予選では誰もが驚く予想外のポールポジションを獲得した。

 Q1でフェルスタッペンはトップのピアストリとの差を半分に縮め、その差は0.256秒となった。フェルスタッペンはマシンの新しいハンドリング特性の限界を探り始め、Q2では3番手に浮上したが、それでもなおノリスのトップタイムには0.356秒及ばなかった。しかしQ3では自己ベストを0.5秒以上更新し、マクラーレンの2人を打ち負かして、日曜日の勝利に向けたベースを築き上げた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第3戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 チーム代表クリスチャン・ホーナーとフェルスタッペンは、セッション間にファクトリーで行われた作業を称賛した。その際に新たに明らかになったのは、チームのシミュレーターでその任務にあたっていたドライバーが、レッドブルの若手のひとりではなく、経験豊富なシムレーサー、ルディ・バン・ビューレンだったということである。

 オランダ出身のバン・ビューレンは、フェルスタッペンの要請によって、この2年間、レッドブルのシミュレータードライバーのメンバーに加えられている。自身もシムレースに出場しているフェルスタッペンは、シムレースで走ることが実際のコース上のレースに非常に役立つと考えており、そのため、バン・ビューレンをレッドブルF1チームのために起用することを強く希望した。

 バン・ビューレンは、カートで好成績を収めたが、シングルシーターに移行するための資金が尽きてしまい、2007年にバーチャルレーシングに転向した。数年前、バン・ビューレンは、フェルスタッペンのeスポーツチーム、レッドラインチームに参加し、フェルスタッペンのチームメイトのひとりとしてバーチャル耐久レースに出場している。

 シミュレータードライバーとして、バン・ビューレンは、ソフトウェア開発とレースウィークエンド中のセットアップ作業の両方に関わっている。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝
2025年F1第3戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝

 フェルスタッペンは、バン・ビューレンを次のように称賛した。

「ルディは非常に優れた感覚を持っており、ほんの小さな調整から、クレイジーな調整まで、彼が実際にすべてを試してくれる」

「僕がシミュレーターでセッションを行うときでも、ルディが準備作業をしてくれていて、すべてをセットアップしておいてくれるんだ。そのおかげで僕は細かい部分に集中することができる」

 今回、バン・ビューレンがレッドブルの週末の陰のヒーローであることが分かった。サーキットでは、チームはマシンのセットアップを微調整する時間しかないため、レースの勝敗は準備期間に左右されるということの証明と言えるだろう。



(Text : GrandPrix.com)

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2025-04-18更新

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