2025.04.10

会見では控えめだった平川亮への評価と、4回のフリー走行起用に見える小松代表の意図【代表のコメント裏事情】


2025年F1第3戦日本GP FIA会見 小松礼雄代表(ハース)
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「ローラン(・メキース/レーシングブルズ代表)も説明したように、角田(裕毅)選手は昨年、誰もが認める大きな飛躍を遂げました。そして今年、日本人として初めてトップチームの一員となりました。これは日本のモータースポーツ界にとって大きな話題だと思います。平川(亮)選手も非常に優れたドライバーで、今回、鈴鹿でフリー走行1回目を走りました」

 これは2025年F1第3戦日本GPの金曜日、フリー走行1回目が終了した直後に行われた国際自動車連盟(FIA)による会見で、レッドブルに移籍した角田裕毅とアルピーヌからフリー走行1回目に出場した平川亮について尋ねられた際のハースの小松礼雄代表の回答だ。

 一見、通常の質疑応答のように感じられるが、角田に対する称賛に対して、平川への評価が少ないように見える。ハースはTOYOTA GAZOO Racingと提携しており、フリー走行1回目で平川はレギュラードライバーのピエール・ガスリーを上回るタイムを叩き出していた。ハースのチーム代表である小松代表がTOYOTA GAZOO Racingの一員である平川をもう少し高く評価しても不思議ではない状況だった。

2025年F1第3戦日本GP FIA会見
2025年F1第3戦日本GP FIA会見 左からローラン・メキース代表(レーシングブルズ)、アンドリュー・ショブリン(メルセデス トラックサイドエンジニアリングディレクター)、小松礼雄代表(ハース)

 なぜ、小松代表はこの時点で平川に対して、多くを語らなかったのか。その答えは、3日後に判明する。

 日本GPが閉幕した翌日の4月7日にハースは平川をリザーブドライバーとして残りのシーズンに起用することを発表した。当然ながら、こうした話し合いは前々から行われており、恐らく金曜日のFIA会見前に決まっていたはずだ。しかし、少なくとも日本GP期間中は平川はアルピーヌに所属しており、ハースのチーム代表がコメントすることで、不必要な憶測を呼びたくなかったのではないかと推測する。

 今回の移籍は、平川にとってもハースにとってもメリットがある、いわばウイン・ウインの契約だった。平川にとってアルピーヌは、自身が契約して以降、フランコ・コラピント、クッシュ・マイニともリザーブドライバーとして契約したため、レギュラードライバーへの道はかなり厳しいものとなっていたからだ。

 ハースにとっては、実績のある平川選手を金曜日のフリー走行に起用することで、マシンの開発に活かしたいという思いがあるものと考えられる。

平川亮(アルピーヌ)
2025年F1第3戦日本GPフリー走行1回目 平川亮(アルピーヌ)

「昨年のシーズン後のアブダビテストでは、彼のフィードバックは非常に詳細でした。そのため、今年4つの異なるサーキットで平川選手に貴重なトラックでの時間を提供できることは、チーム全体にとって非常に有益です」

 平川がフリー走行でハースのF1マシンを走らせるのは、次戦バーレーンGPのほか、スペインGP、メキシコシティGP、アブダビGPの予定となっている。

【代表のコメント裏事情】
2025年F1第3戦日本GP 囲み取材を受ける平川亮(アルピーヌ)


(Text : Masahiro Owari)

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