2025.04.10

“退屈”と評されたF1日本GP、「要因は新舗装と乱気流」とステラ。改善案には新DRSゾーンやタイヤ変更の声も


2025年F1第3戦日本GP 決勝スタート
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 日本GPで10位に入賞して満足したハースのオリバー・ベアマンは、同レースを“退屈”であったと評し、「基本的に、53周の間はずっとひとりでいたし、自分の前でも後ろでも誰かがオーバーテイクをしたのを見ていない」と語った。

 確かに、新しいタイヤを履いたトップ集団のドライバーたちが、第1スティントを延ばしていたドライバーたちを相手に躍進したことは別として、トップ10内で唯一実際に追い抜きをしたのは、6周目にアイザック・ハジャーを追い抜いたルイス・ハミルトンくらいだった。さらに、これは何よりもハミルトンが予選でポジションを落としていたことによるところが大きいだろう。

 ほかに後方では、ファーストラップで角田裕毅(レッドブル)がリアム・ローソン(レーシングブルズ)を抜くなどいくつかの動きがあった。ふたたび動きがあったのは、レースの最後の3分の1で、新しいソフトタイヤを履いたカルロス・サインツ(ウイリアムズ)が、摩耗の激しいハードタイヤを履いていたローソン、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)を追い抜いたときだった。

 動きを仕掛けられる恐れのない雰囲気で首位を走るマックス・フェルスタッペンを、自チームのふたりのドライバーが53周にわたって追いかけていたのを目の当たりにしたアンドレア・ステラは、「参加していなければ、観客にとっては退屈なレースに見えただろう」と認める。しかしその後、「我々にとっては、非常に接近していたのでエキサイティングなレースだった。ほんの小さなミスが、大きな代償を払うことになるかもしれないからだ」と付け加えた。

“退屈”と評されたF1日本GP、「要因は新舗装と乱気流」とステラ。改善案には新DRSゾーンやタイヤ変更の声も
2025年F1第3戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を追うランド・ノリスとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 ステラは、「ショーとしては、素晴らしいものではなかった」と認め、次のように要因を分析した。「その主な原因はふたつある。新しい舗装のおかげで、鈴鹿はデグラデーションの少ないサーキットになったこと。もうひとつは乱気流がふたたび問題となり、前のクルマに追いつくのがずっと難しくなったことだ」

「なかでも乱気流は特別な問題のひとつになっている。結局、今のマシンは空力に頼ってダウンフォースを増やし続けており、乱気流も増している。第2戦の中国では、ハミルトンにもこの問題が見られた。スプリントでリードしているときは、たとえタイヤがダメージを受けていたとしても、彼はほぼ何でもやりたいことができていただろう。レースをリードすることは、とくに重要な要素になるんだ。そして今年はタイヤのデグラデーションがほとんどなかったため、この要素は鈴鹿ではあまり機能しなかった」

 こうした問題に対し、パドックではスプーンカーブの後にふたつ目のDRSゾーンを追加することが、レースをエキサイティングなものにする案として語られる場面もあった。しかし、フェラーリのフレデリック・バスール代表は次のように指摘している。

「そうすると、ドライバーがDRSを開いたまま130Rを走ろうとすることになってしまうのではないだろうか。それは非常に危険な状況だろう」

 さらにザウバーで長年スポーティングディレクターを務めてきたベアト・ツェンダーは、「そのためには、ドライバーがボタンを押さなくても130Rの手前でDRSを閉じるシステムを構築する必要がある。しかし、それは決して容易なことではないはずだ」と付け加えた。

“退屈”と評されたF1日本GP、「要因は新舗装と乱気流」とステラ。改善案には新DRSゾーンやタイヤ変更の声も
2025年F1第3戦日本GP FP2でクラッシュを喫したジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)。DRSを閉じなかったことが原因とされる

 一方でツェンダーは、スプーンカーブ後のDRSゾーンを新設するプランの代わりに、タイヤコンパウンドの変化が有効ではないかと語った。

「おそらく来年ピレリは、このコースで使用するタイヤのコンパウンドをもう一段階ソフト寄りにするのではないだろうか」

「新しい路面が鈴鹿の基本的な特徴を変えたことを我々は知ることができたし、それに新たに適応しなければならない。私が思うに、それがこのコースでのレースを面白いものにするもっとも簡単で効率的な方法になるだろう」

“退屈”と評されたF1日本GP、「要因は新舗装と乱気流」とステラ。改善案には新DRSゾーンやタイヤ変更の声も
2025年F1第3戦日本GP 新舗装が施された鈴鹿サーキットで行われた決勝レース


(Text:GrandPrix.com / Translation : AKARAG)

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