2025.04.09

元ホンダ山本雅史氏が見たフェルスタッペン、そして教え子、角田裕毅のパフォーマンス「いいもの見してもらった」


第4期ホンダF1のタイトル獲得に尽力し、2018年に角田裕毅をレッドブル・ファミリーに送り込んだ元ホンダの山本雅史氏
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 第4期ホンダF1のマネージングディレクターとしてレッドブルとの契約を果たしてチャンピオン獲得、そして角田裕毅をレッドブルファミリーに加入させた立役者、フジテレビのF1中継でも解説を務めている元ホンダの山本雅史氏に、F1日本GPが行われた鈴鹿でのレース後、週末の感想と角田のパフォーマンスについて聞いた。

 元ホンダの山本は、ホンダのレッドブルへのパワーユニット供給と共に、ドライバーの育成プログラムでも提携を実現させ、2018年に国内でFIA-F4に参戦していた角田裕毅をハンガリーで行われたFIA F3の合同テストに参加させた。F3マシンがほぼ初めてだった角田はいきなりトップタイムをマーク。レッドブルの育成担当のヘルムート・マルコ氏を驚かせ、レッドブル・ファミリー入りがそのテストで決まり、その後のFIA F2、F1レギュラー参戦への道筋を作った。

 その山本氏にとっても、今回の鈴鹿でのレッドブル角田の走り、そして優勝を果たしたマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスには、驚きと感慨深さが入り混じっていた。

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「いや、もう土曜日のあの予選からもう、Q3でのフェルスタッペンの神がかった走りには驚きました。もう別次元の走りでしたね。レッドブルには悪いですけど、これまでの2戦、そしてフリー走行を見てもクルマはやっぱりマクラーレン、メルセデス、フェラーリに比べてパフォーマンスは落ちていますよね。クルマのパフォーマンスだけなら正直、3番手、4番手チーム、下手すればウイリアムズとか中段勢上位のクルマとどんぐりというぐらいのレベル。でも、その状況でやっぱりフェルスタペンが自分でも言っていましたけれど、もう神がかったアタックだった」

「『トラックから外れないで』って、自分でも祈りながら走いるというね。それで『もう限界超えて、限界超えたところでクルマがまた良かった』とか言っているのが、俺は怖いわ(笑)。でも、それがフェルスタッペンですね」

「角田(裕毅)は本人とも話をしましたけど、今回からレッドブルに乗って、この鈴鹿から乗って予選最後、Q2の2回目にアタックする時にフロンタイヤのウォームアップがちょうど温度レンジに入れなかった。そこは難しいですよね」

「あの時のQ2はまず、ユーズドタイヤで出てアタックして、その後にフレッシュ(ニュータイヤ)でのアタックするというフェルスタッペンと同じパターンですけど、フェルスタッペンはもう7〜8年このチームで走って、その展開とレッドブルのクルマとウォームアップを経験している」

「やっぱりレッドブルを積んできてるドライバーだから、そういう意味では角田が『そこがちょっと残念だった』と言っていたのと、本人はやっぱり自分がイメージしているところまで徐々に持ってきたのに、最後にそこでうまく持ってこれなかったという自分への悔しさがありました。だけど、FP1でマックスとコンマ1秒の差で、その後もいろいろな(何度も赤旗中断の)アクシデントとかがあったから、そういうのを差し引いて考えれば、やっぱり角田はやれるんだなというのをこの鈴鹿で見せてくれたと思います」

「それで決勝ではもうフェルスタッペンがね、1コーナー獲ったらたぶん、あの(マクラーレンのランド)ノリスのペースを見ながらレースをするなと思っていました。マルコさんともそう話していたら、まったくその通りになったし、やっぱり『さすがフェルスタッペンだな』と思いました」

「角田は12位で非常に悔しいレースだったと思いますけど、今までのRB21だったら、トップチームとの戦いでは決勝ではちょっとずつ離れていく展開になったと思います。これまでは前についていけないみたいなところがあったけど、今回の角田はしっかり前についていけていた。ただ、それでもやっぱり前のクルマの1秒以内に入ってしまうと乱気流で後のクルマはダウンフォースが減るのでタイヤがしんどくなっちゃうんですよね」

「その辺のタイヤのマネジメント、あのRB21のクルマとタイヤと会話すると言ったらなんだけど、その辺のマネジメントのノウハウはやっぱりレッドブルに来て初戦だったから、ちょっとまだうまく噛み合わなかったんじゃないかなと思いましたね」

「ただね、やっぱり先を期待させてくれるものは十分見せてもらったので、鈴鹿から3連戦で次はバーレーン、そしてサウジアラビアなら角田裕毅はイケると思うので楽しみです。そういう意味じゃ本当にいいもの見してもらったと思いますよ」

「マルコさんも、角田に関しては『もう本当にすごく成長したよ』と僕に言ってくれていて、『レッドブルに来たからには、これからさらに成長させて十分やっていける』という風に言ってくれていたので、ちょっと嬉しかったですね。本当に改めてフェルスタッペンの強さと、そして角田裕毅の可能性を今日は見たと思っています。それがここ鈴鹿で見れただけでも日本人のファンの方は良かったのではないでしょうか」

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 結果的に、フェルスタッペン劇場となった今回の鈴鹿、山本氏にとって教え子とも言える角田のパフォーマンスには、まずは合格点を与えられたようだ。だがもちろん、ここがスタート。山本氏と角田、そしてホンダのゴールはまだまだ、先にある。

2025年F1日本GP鈴鹿サーキット決勝日 角田裕毅(レッドブル)
決勝での角田は雨を考慮したセットアップで車高を高めにしたか、ストレートが厳しくオーバーテイクは難しかった
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の勝利を祝うレッドブルとホンダ
2025年F1第3戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の勝利を祝うレッドブルとホンダ
角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第3戦日本GP 角田裕毅(レッドブル)


(Text:autosport web)

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