【独自選出:F1第1戦ベスト5ドライバー】週末を通して抜きん出ていたノリス/前評判どおり速かったアントネッリ
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回のオーストラリアGPは、決勝の上位5名がベスト5ドライバーと評価された。
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ランド・ノリス(マクラーレン):予選1番手/決勝1位
ノリスはメルボルンの週末を通してすべてのライバルの一歩先を行っていた。彼の予選ペースは圧倒的で、ポールポジション獲得はまさに当然のものと思われた。
レースでは他の全員を引き離すスピードとタイヤマネジメントを見せつけ、首位をしっかり守り抜いた。不安定なコンディション下では、先頭を走るドライバーは、戦略的な決断を下すのがより難しく、リスクが最も高い立場に立たされる。しかしノリスは、その困難を乗り越えて優勝を勝ち取った。残り2周のところでターン6でワイドになった瞬間を除けば、ノリスは一日を通して他には全くミスを犯していない(ターン12でのコースオフは、突然の土砂降りによるものだった)。ノリスは25点に完全に値する仕事をしたといえるだろう。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選3番手/決勝2位
フェルスタッペンは、最速のマシンがなくても優勝争いができることを改めて証明した。予選でマクラーレンの速さに対抗するのは難しく、彼らに続く3番手となった。しかし決勝ではスタート直後から攻撃的な走りを見せ、ターン2からの加速でオスカー・ピアストリを抜き去り、2番手に浮上。ノリスについていくためには、インターミディエイトタイヤから最大限のパフォーマンスを引き出す必要があったが、17周目のターン11でコントロールを失いかけ、その隙を突かれて、ピアストリに抜かれてしまった。
その段階では彼にとって3位が最大限の結果かと思われた。しかしコンディションの変化に伴い、レッドブルはいくつかリスクを取りつつ戦い、最終的にフェルスタッペンは、ノリスと僅差の2位を獲得した。彼にとってダメージリミテーションという意味で完璧なレース運びだった。
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選4番手/決勝3位
ラッセルは週末を通して目立たない存在だった。トップ3を本格的に脅かすことはなかったが、後方のフェラーリ勢とは適度なギャップを保ち、メルセデスのリードドライバーとしての新たな立場にふさわしい成熟した走りを見せた。
予選ではフェルスタッペンにわずか0.065秒差まで迫ったが、レース序盤はトップ3と戦うだけのペースはなかった。しかし、インターミディエイトを温存しながら、ラッセルは徐々にシャルル・ルクレール(フェラーリ)との差を広げ、その後、コンディションが難しくなると、慎重にレースを進めた。
ピアストリのコースアウトによって表彰台圏内に浮上し、最後のセーフティカー導入後の6周のスプリントでは、誰にも脅かされることなくフィニッシュラインを通過した。
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選16番手/決勝4位
「僕はキミ。勝つためにここに来たんだ」と自己紹介するかのようなデビューレースだった。それまで彼の速さに確信を持てずにいた人々も、メルボルンのレースを見て、納得したのではなかろうか。
一方で、常に最前線で戦うためにはもう少し経験が必要であることを示すミスもいくつかあった。週末初日はあまり目立たなかったが、FP3で5番手のタイムを記録。しかし予選Q1では、ターン6でコースから大きくはみ出してマシンのフロアを損傷。その結果、Q1で16番手という結果に終わった。
18歳の彼は、それでも冷静さを失わず、初めてのグランプリで困難なコンディションに対応しながら、ターン4で派手なスピンを喫する場面もありつつ、他のマシンを次々と追い越していった。適切な戦略が功を奏し、最後のリスタート時には5番手に。そして残り1周というところでアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を抜き去り、4位でフィニッシュした。これは2015年以降のルーキーとしては最高の成績だ。ちなみにアントネッリのレース中のファステストラップは、ラッセルより0.164秒速く、しかも同じ周回で記録されたものだった。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選6番手/決勝5位
カルロス・サインツがチームメイトとしてウイリアムズに加入したことで、アルボンの影がやや薄くなっていた。しかしオーストラリアの予選Q3でアルボンは持ち前のスピードを発揮し、6番グリッドを獲得し、サインツを上回ってみせた。
レースでは困難なコンディションのなかで一切ミスを犯さず、44周にわたってルイス・ハミルトン(フェラーリ)からのプレッシャーに耐え抜いた。チームの戦略も奏功し、ポジションを上げ、残り2周でアントネッリのペースに対抗することはできなかったものの、5位という素晴らしい結果を達成した。