予選は新人トップの11番手。クラッシュ後は人目も憚らず悔しさを露わにしたハジャー【ギョロ目でチェック/第2回】
今年のF1開幕戦オーストラリアGPは、3人のルーキーにとってF1デビュー戦となった。そのうちのひとりがレーシングブルズのアイザック・ハジャーだった。
アルジェリア系フランス人の父ヤシーヌと母ランダの間に2004年フランス・パリで生まれたアイザックは、11歳でカートを始めると瞬く間に才能を開花させ、4年後の2019年にはフランスF4に参戦する。その後、2022年にFIA F3、2023年にFIA F2と順当にステップアップ。2024年にはFIA F2でチャンピオンシップ争いを演じるまでに成長し、見事2025年のF1のシートを手にした。
デビュー戦となったオーストラリアGPの予選では11番手を獲得。アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)というオーストラリアGPがデビューとなったドライバーだけでなく、今年F1に初めてフル参戦するリアム・ローソン(レッドブル)、オリバー・ベアマン(ハース)、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)をも上回った。
デビューレースでいきなり初ポイントも期待された日曜日の決勝レース。濡れた路面のなか、インターミディエイトタイヤを選択してフォーメーションラップをスタートさせたハジャーだったが、2コーナーでアクセルを開けた瞬間にリヤタイヤを滑らせてスピン。コントロールを失ったハジャーのマシンはリヤからタイヤウォールに激突した。
左リヤタイヤとリヤウイングにダメージを負ったハジャーのマシンは再スタートを切ることができず、その場でリタイアとなった。デビュー戦でポイントを獲るどころか、スタートできずにまさかのDNSに終わったハジャーは、コクピットを降りると、ヘルメットの上から両手で顔を覆い、人目を憚らず悔しさを露わにしていた。
「あまりにも恥ずかしい。フォーメーションラップでタイヤをできるだけ温めようとしたことが、残念な結果につながってしまった。本当にチームには謝罪したい。いまの僕にできることは、このミスから学ぶこと。そして、来週の中国でのレースに備えたい」
これまで何度となくクラッシュするシーンを見てきたが、これほどまでに悔しがったドライバーを筆者は見たことがなかった。本人にとっては辛い経験だったかもしれないが、その悔しさが成功への糧になると信じている。