【決勝日レポート】
驚速マクラーレンのノリスがポール・トゥ・ウイン。大健闘の角田裕毅は戦略に泣く【決勝レポート/F1第1戦】
3月16日、2025年F1開幕ラウンドとなる第1戦オーストラリアGPの決勝レースが行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインで自身通算5勝目を飾った。2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続いた。角田裕毅(RB)は12位でチェッカーを受けた。
前日までのドライコンディションから一転。決勝日午前のアルバート・パーク・サーキットには激しい雨が降り注ぎ、サポートイベントであるFIA F2のフィーチャーレースはキャンセルとなるほど。
幸い雨はF1のスタート進行までに収まったが、路面は依然として濡れたまま、走れば水飛沫が巻き上がるということもあり、スタートタイヤは19台が浅溝のインターミディエイトタイヤ(グリーン)を装着、13番グリッドのランス・ストロール(アストンマーティン)のみ、溝の深いウエットタイヤ(ブルー)をチョイスした。
そんななか、フォーメーションラップ開始早々に今回がデビュー戦のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)が、ターン2でスピンを喫しウォールにクラッシュ。リヤウイングが脱落するほどの大きなダメージを負い、ハジャーはスタート前にマシンを降りることになった。
これでスタートはおよそ15分ディレイに。各車ダミーグリッドで再び待機するなか、このタイミングでストロールがインターミディエイトタイヤに履き替え、全車が同一タイヤでスタートを迎えることに。
再度フォーメーションラップを挟んだためレース周回数は1周減となり、57周の決勝レースは気温は16度、路面温度は19度、湿度75パーセントというコンディションでスタートを迎えた。
ポールシッターのノリスがホールショットを守る。一方、ターン2立ち上がりでフェルスタッペンがオスカー・ピアストリ(マクラーレン)をかわし2番手に浮上、早々にマクラーレンのワンツー体制を崩す展開に。
5番グリッドスタートで注目を集めた角田は、蹴り出しこそ悪くはなかったが、7番グリッドから抜群のスタートを決めたシャルル・ルクレール(フェラーリ)がターン3で先行し、角田は6番手に後退する。
さらに、ターン5で母国戦のジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)が単独スピンからクラッシュを喫し、セーフティカー(SC)が導入される。そのSC導入中、オープニングラップの最終ターン14で昨年のオーストラリアGPウイナーであるカルロス・サインツ(ウイリアムズ)のリヤが流れ単独クラッシュを喫してしまう。
ルーキーのみならず、ベテランも餌食となる難しいコンディションだけに、ドライバー陣には「白線に乗らないように」といった指示も飛んだ。
2台の回収に時間を要し、レースは8周目から再開された。6番手の角田はルクレールのペースについていくことができず、7番手のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を従える展開に。
12周目からDRSが解禁に。ピアストリは2番手フェルスタッペンの1秒以内をキープしていたが、なかなかオーバーテイクのチャンスは訪れなかった。しかし、17周目のターン11でフェルスタッペンがオーバーシュートを喫し、その間にピアストリが2番手の座を取り戻す。
フェルスタッペンはタイヤのオーバーヒートに悩まされたか、マクラーレン2台のペースについていくことができない。25周目を迎えるころにはピアストリとフェルスタッペンのギャップは13秒まで広がった。
一方、マクラーレン2台は他を寄せ付けないペースでレースをリードした。ただ、レース中盤のペースは2番手ピアストリの方が良く、レース後半に差し掛かろうかという頃には、パパイヤカラーの2台はテール・トゥ・ノーズとなる。
ただ、ノリスもペースを上げてピアストリを牽制。そんななか、ピアストリは32周目のターン6で僅かにグラベルにタイヤを落とし、ノリスとのギャップが3秒近くまで広がった。ただ、そんなピアストリには「オスカー、レースをしていいよ」とチームから無線が飛んだ。
マクラーレンのチーム内バトルがフォーカスされ始めるなか、34周目のターン6でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がグラベルに足元をすくわれクラッシュ、これで2度目のSC導入となる。路面も乾きつつあったこともあり、ここでピットに入った全車がドライタイヤに履き替える。
ここで多くの車両はハードタイヤ(ホワイト/C3)を選択。3番手フェルスタッペン、6番手角田、7番手アルボンらはミディアムタイヤ(イエロー/C4)をチョイスした。アロンソのマシン回収に時間を要し、2度目のリスタートは42周目となり残り周回数は16周となった。
ようやく履けたドライタイヤだったが、レコードラインを少しでも外れると濡れた路面に乗ってしまうリスクもあり、各車比較的慎重なリスタートを迎えた。そんななか、ミディアムタイヤの角田がルクレールをかわし5番手の座を取り戻す。
その直後の44周目、急に大粒の雨粒が落ち始め、ターン13でピアストリがスピンを喫しマシンを止めてしまう。これを見たノリスらはインターミディエイトに履き替えるべく急ぎピットへ。なお、ピアストリはほぼ最後尾ながらコースに復帰している。
ここでステイを選択したフェルスタッペンがトップ、2番手ハミルトン、3番手ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、4番手ルクレール、当初2番手につけるも雨でコースオフがあり5番手となっていた角田となるが、レーシングブルズの予想に反し雨脚は強まりこのギャンブルは失敗に終わる。
その直後、ターン13でガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)が、ターン2でローソンがクラッシュを喫し3度目のSC導入となると、SC導入中の48周目にハミルトン、ルクレール、そして角田がインターミディエイトに交換。角田は入賞圏外の11番手までポジションを下げた。
レースは52周目に再開。この時点でノリス、フェルスタッペン、ラッセル、アルボン、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)というトップ5となり、新人アントネッリにも表彰台のチャンスが訪れた。
一方、角田は53周目にピアストリにかわされ12番手に後退する。ピアストリはペースの上がらないガスリーをかわし、55周目には入賞圏内の10番手までポジションを戻す。
残り2周の56周目、アントネッリがアルボンを攻略し4番手に浮上する。ただ、そんなアントネッリに対し、アンセーフリリースに伴う5秒のタイムペナルティが下ることに。
最終盤、フェルスタッペンはノリスとのテール・トゥ・ノーズの戦いを続けたが、0.895秒僅かに届かず。ノリスがポール・トゥ・ウインで自身通算5勝目を飾った。
2位フェルスタッペン、3位ラッセル、4位アルボン、5位アントネッリ、6位ランス・ストロール(アストンマーティン)、7位ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)、8位ルクレール、9位ピアストリ、10位ハミルトンまでがポイント獲得。角田は12位で開幕戦の長く、厳しい戦いを終えた。
次戦となる2025年F1第2戦中国GPは3月21日〜23日に、上海インターナショナル・サーキットで開催される。