F1プレシーズンテスト2日目:雨のバーレーンで接触やスピンが発生。最速はウイリアムズのサインツ、ハミルトン2番手
バーレーンでのF1プレシーズンテストが2月27日に2日目を迎え、低温で、一日を通して時折小雨が降るコンディションの下、全10チームの18人のドライバーたちが、2025年型マシンでの走行を行った。この日、トップタイムを記録したのは、ウイリアムズのカルロス・サインツだった。2番手には、午前セッション最速のルイス・ハミルトン(フェラーリ)、3番手にはチームメイトのシャルル・ルクレールが続いた。
この日の走行は、午前セッションは特に、雨の影響を受けることになった。前夜に雨が降ったが、午前プラクティス開始時には雨はやんでおり、スリックタイヤで走れるコンディションだった。しかしすぐに雨が再び降り始め、1時間半ほどすると雨脚が強まったため、各車はガレージに戻り、コンディションの回復を待つことに。今回、チームは自分たちが選択した35セットのタイヤを提供されているが、雨天用タイヤをラインアップに入れたのは、ハースとアストンマーティンのみだった。
午後も時折小雨が降ったものの、午前中ほどの影響を受けずに、午後担当の10人は走ることができた。テスト初日は全チームが午前と午後でドライバーを入れ替えたが、2日目には、レッドブルとウイリアムズは終日ひとりのドライバーが走り、リアム・ローソンとカルロス・サインツが自身にとってプレシーズン最後の走行に取り組んだ。
雨のため、コースオフするマシンもあり、サインツやルクレールなど経験豊かなドライバーたちもスピンを喫したが、いずれも大きな問題はなかった。一方、午前セッションではコース上でインシデントが起きた。キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグに後ろからマクラーレンのオスカー・ピアストリが追いついてきた時に2台が接触。ピアストリはすぐにピットインし、ダメージを確認したが、大きな問題はなかったようで、すぐにコースに復帰した。
テスト最終日28日も、10チームの18人のドライバーが走行する予定だ。
ウイリアムズは、テスト2日目はカルロス・サインツひとりを走らせた。途中、スピンをする場面もあったが、サインツは午前セッションでは2番手につけ、一日の最後には総合トップに立った。プレシーズンテストでサインツが走るのは、この日が最後となる。
「雨が降ったりやんだり、風が吹いたりとまったり、複雑でとても長い一日だった」とサインツはコメントしている。
「でもなんとかうまく切り抜けて、たくさんのラップを走り、走行プランをその都度変更しつつ、全プログラムを完了することができた」
「昨日よりマシンバランスが改善し、マシンの全体的なフィーリングが向上した。ある程度の進歩が見られたと思う」
「今日が僕にとって最後の日だ。次は開幕戦オーストラリアで、テストが足りない気がしている。もっといろいろ試せたらいいが、一日半のテストにおいてできる限りの準備はできた。オーストラリアで全力でプッシュする」
●カルロス・サインツ(ウイリアムズ)1番手:1分29秒348(C3タイヤ/午後) 127周
フェラーリは、初日同様、ルイス・ハミルトンを午前、シャルル・ルクレールを午後に走らせた。ハミルトンは午前セッションでトップ、全体では2番手となった。ハミルトンはC3コンパウンドのみで走行、データ収集に取り組むとともに、マシンへの理解を深めるためにプッシュしたラップもあった。
「このマシンで走ることを本当に楽しんでいる。ゆっくりと絆が深まりつつあると思う。自分のコントロール下でマシンが動いていると感じる。自分のインプットにマシンが反応しているんだ」
午後に走行したルクレールは予選と決勝のシミュレーションを行い、C1からC4の4種類のコンパウンドを使用した。ルクレールは、コンディションの変化により、結論を導き出すのは難しいと述べている。
●ルイス・ハミルトン(フェラーリ)2番手:1分29秒379(C3タイヤ/午前) 45周
●シャルル・ルクレール(フェラーリ)3番手:1分29秒431(C3タイヤ/午後) 83周
メルセデスは、ジョージ・ラッセルを午前、午後にアンドレア・キミ・アントネッリを走らせた。ラッセルは午前セッションで2番手、総合4番手。アントネッリは総合5番手だった。
ラッセルは、初日走行を終えた後、ニューマシン『W16』について次のように語った。
「マシンのハンドリングが良く、好調だった。昨シーズンは、各チームのパフォーマンスに大きな変動があったから、このテストで最速でも、4番手でも、3番手でも、あまりそれを深く受け止めない方がいいかもしれない。ただ、マシンはうまく機能していると思う」
●ジョージ・ラッセル(メルセデス)4番手:1分29秒778(C3タイヤ/午前) 71周
●アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)5番手:1分29秒784(C3タイヤ/午後) 87周
アストマーティンは、午前にフェルナンド・アロンソ、午後にランス・ストロールを走らせた。アロンソは総合11番手、ストロールは6番手だった。CEO兼チーム代表アンディ・コーウェルは、「あらゆる計器を利用して学んでいる」とコメントしている。「さまざまなメカニカルセットアップおよび空力セットアップのコンポーネントを試し、ファクトリーのスタッフが、そのデータをチェックし、分析し、今後正しい決定を下すための手助けをしてくれる」
●ランス・ストロール(アストンマーティン)6番手:1分30秒229(C3タイヤ/午後) 57周
●フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)11番手:1分30秒700(C3タイヤ/午前) 45周
レッドブルは、テスト2日目にリアム・ローソン、3日目最終日にマックス・フェルスタッペンを走らせるという方針を定めた。ローソンのマシンは午前セッションの途中から走行を中断。チームは「エンジンの水圧低下を検出した」と説明した。ローソンは午後に走行を再開するが、マシン調整のためにピットに戻る場面もあった。
「一日を通してマシンの初期トラブルと格闘していた。でもニューマシンについて学ぶことがテストの目的だ」とローソンは言う。
「すべての作業がとても価値があるものであり、前向きな状態にあると感じている」
今回のテストでローソンが走るのはこの日が最後で、次は開幕戦オーストラリアでニューマシンに乗ることになる。
●リアム・ローソン(レッドブル)7番手:1分30秒252(C3タイヤ/午後) 91周
アルピーヌのピエール・ガスリーは午前を担当、ジャック・ドゥーハンが午後を担当した。ふたりともC2とC3コンパウンドを使って走行。レーシングディレクターのデイブ・グリーンウッドは、雨のため、安定した路面コンディションを必要とするテスト作業の一部はできなかったものの、極力コンディションに合わせてプログラムを調整し、有意義なテストを行うことができたと述べている。
●ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)8番手:1分30秒368(C3タイヤ/午後) 80周
●ピエール・ガスリー(アルピーヌ)9番手:1分30秒430(C3タイヤ/午前) 40周
レーシングブルズは、午前に角田裕毅、午後にアイザック・ハジャルを走らせた。午前は雨のためにスリックタイヤでは走行できない時間帯もあり、さらにマシンに何らかの問題が発生したことで、角田の周回数は46周にとどまった。角田は、「早い段階で問題点を発見して修正することが、テストの目的です。そういう状況のなかでも、大量のデータを集め、マシンへの理解を深めることができました。全体的にはポジティブな一日でしたし、明日さらに前進することができるでしょう」と述べている。
午後のハジャルはレースシミュレーションに取り組み、満足いく走りができたということだ。
●アイザック・ハジャル(レーシングブルズ)10番手:1分30秒675(C4タイヤ/午後) 94周
●角田裕毅(レーシングブルズ)12番手:1分30秒793(C3タイヤ/午前) 46周
マクラーレンは、午前セッションをオスカー・ピアストリ、午後をランド・ノリスに担当させた。初日はノリスが全体のトップタイムを記録したが、2日目はピアストリが13番手、ノリスが14番手という結果だった。
ノリスは「ロングランでかなりの周回数を走ることができ、異なるタイヤコンパウンドも試すことができた」と述べている。「多くのことを学んだと思うし、フルレース走行の経験は貴重だった。今のところ良い感触だ」
●オスカー・ピアストリ(マクラーレン)13番手:1分30秒821(C3タイヤ/午前) 44周
●ランド・ノリス(マクラーレン)14番手:1分30秒882(C3タイヤ/午後) 77周
ザウバーはニコ・ヒュルケンベルグを午前、ガブリエル・ボルトレートを午後に起用。ヒュルケンベルグは、後ろから来たオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を前に出そうとしたが接触が起きてしまった。幸い、2台に接触による大きな問題は起こらなかった。
●ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)15番手:1分31秒057(C3タイヤ/午後) 80周
ハースは、バーレーンテストに雨天用タイヤセットを選んだ数少ないチームのひとつだった。異例の天候で小雨が断続的に降ったテスト2日目、コンディションが悪化し、他のドライバーたちがガレージにとどまった時間帯に、オコンはインターミディエイトタイヤを装着して走り続けることができた。
●エステバン・オコン(ハース)17番手:1分33秒071(C3タイヤ/午前) 69周