抜けないモナコに悩むF1、特別ルールの導入を検討。ピットストップ義務を2回に拡大し、レースを活性化
F1は、モナコGPにのみ適用される特別な競技レギュレーションを導入しようとしている。最近開催されたF1コミッションの会合で、モナコに関してのみ、レース中に義務化されるピットストップの回数を増やすことにおいて合意がなされた。
FIAは、2月18日付けで、次のような発表を行った。
「モナコGPでのより良いレースを促進することを目標として、コミッションは、モナコ特有の規則の提案について議論し、レース中の義務的ピットストップの回数を増やすことに同意した。これらの提案は、今後数週間のうちにスポーツ諮問委員会によって、さらに議論される予定である」
ピットストップ回数を増やすための手段としてのひとつの案は、ピレリが持ち込む3種類すべてのコンパウンドをレース中に使用しなければならないというものだ。
現時点ではレース中に2種類のコンパウンドの使用が義務付けられており、タイヤ交換は最低1回行わなければならない。しかし、新たな提案では、3種類のコンパウンドを使用しなければならず、ピットストップは最低2回行うことになる。チーム関係者によると、この提案は承認される見通しであるという。これが決まれば、3種類のタイヤをいつ使用するかという戦略的な判断が、結果に大きく影響することになるだろう。
この新ルールは、オーバーテイクがほぼ不可能なモナコGPのみに適用される予定だが、これが前例となり、将来は、すべてのグランプリで、全コンパウンドの使用義務が科されるようになる可能性がある。当然のことながら、ピットストップの回数が増え、多くの場合、倍増することが、ショー的要素を強化することになる。
一方で、タイヤサプライヤーのピレリは、一部のサーキットでは従来よりも保守的な選択をしなければならないかもしれない。タイヤに厳しいバルセロナ、シルバーストン、鈴鹿などでは、予選で使用されるコンパウンドは、レースコンディションにおいてわずか数周しか持たない可能性が高く、レース終盤の、燃料がほとんど残っていない状態で使うほかないためだ。
F1は、マシン同士がより接近して走行することができる方法を見つけたり、オーバーテイクの機会を増やす試みのほかに、ショーを優先するためにスポーツを調整する方法を採ろうとしている。
少なくともモナコについては何らかの変更を行う必要があるという点に関して、ピレリとチームも同意している。だが、すべてのグランプリにおいて2回のピットストップを義務化することに対しては、最善な戦略が採れなくなることを懸念し、チーム側は強く反対するものと予想される。