「おそらく自分史上、一番できあがっている」角田裕毅、75周年記念イベント直前にオフと2025年に向けて語る
イギリス・ロンドンで行われるF1史上初のイベント、75周年記念、F1全チーム合同新車発表会の開催直前、日本時間2月18日の深夜にレーシングブルズの角田裕毅にリモートで取材する機会を得た。
5年目のF1を迎える角田裕毅。まずは去年のシーズン終了後、ここまでどんな日々を送っていたのだろう。
「12月は日本で過ごして、年明けに毎年行っているドバイで2週間ほどトレーニング。その後は転居したばかりのイタリア・ミラノで、自宅のいろいろ整理とか、スポンサーへの挨拶とかしてました。2月に入ってからは、特にイギリスに行き来してましたね」
イタリアのファエンツァにチームの本拠地を置くレーシングブルズだが、今年からイギリスにもファクトリーを新設。イギリスではもちろんミルトンキーンズにあるレーシングブルズのファクトリーを訪れ、シミュレーター作業や新車の進捗状況の確認もあったに違いない。
ここまでの4シーズン、角田は着実な進化を重ねてきた。今季に向けては、どんなことを心がけ、どんな1年にしようと思っているのだろう。
「肉体的にはかなりいい準備ができていると思います。おそらく自分史上、一番できあがっているんじゃないかと思います。トレーニングの数値はすべて更新していて、そこはひとつ自信になってますね。その意味で、いいオフシーズンが送れたと思ってます」
「今年もっとも心がけているのは、リーダーシップですね。ドライバーとして、それを確立させたい。どんな振る舞いをすべきか、マシンについての有益な情報をいかに効率よく、的確に伝えられるか。今年は、僕の発言のひとつひとつが今まで以上に重くなってくると思うんですね。ですので、特に難しいレース展開になった時に僕の一挙手一投足が重要になってくると思ってます。そこをしっかり意識して、シーズンに臨もうと思ってます」
今季のチームメイトは新人のアイザック・ハジャル(20歳/フランス出身)だ。2017年、当時フランスF4ドライバーだったハジャルが鈴鹿に来た際に角田は会ったことがあるが、「それ以来、まったく接点はなかったのでよく知らない」とのこと。
「ただ彼も同じようにイタリアに住んでいるので、これから交流を深められればなと思います」
ドライバーとしては、ハジャルにどんなイメージを持っているのだろう。
「人間的には面白いですし、おそらく、めちゃめちゃいいヤツだと思います(苦笑)。ドライバーとしてはまだ全然わかりませんけど、無線のやり取りとかは昔の僕みたいですよね。でも、面と向かって話すと優しい感じ。チームメイトとして、うまくやっていけるんじゃないかなと思ってます」
5年目の今季は日本人F1ドライバーとして最多出場数を更新し、同時に100GPを超える最初の日本人となることもほぼ間違いない。しかし角田自身は、「あまりそういう数字は意識してない」という。
「今までも言われたことがありますけど、そのたびに忘れてしまうくらい(笑)。むしろ自分自身で成し遂げたいことがいっぱいあるし、F1でチャンピオンになるために今年は今まで以上に良い結果を出したいし、来季につながる良い走りがしたいと思ってます」
限られた短いインタビュー時間ではこれ以上の質問はできなかったが、角田の今シーズンに賭ける強い思いは確認できた。
今季はレーシングブルズからレースに参戦するのと同時に、レッドブルのリザーブドライバーにも任命された。もちろん角田自身のパフォーマンス次第ではあるが、レッドブルからデビューするリアム・ローソンに代わって、マックス・フェルスタッペンのチームメイトに抜擢される可能性も十分にある。
一方で、レッドブル育成ドライバーとしての来季以降の契約は結ばれていない。今シーズンは角田にとって、今まで以上に重要な1年になりそうだ。