レッドブルの新車『RB21』がローリング・ストーンズの曲とともに登場。スポンサー入れ替わりでマシンに新ロゴ
F1が75周年を記念して、2025年に全チームが参加するローンチイベント『F1 75 Live』を開催、オラクル・レッドブル・レーシングは、2025年型マシン『RB21』のカラーリングを披露した。
2022年、2023年とF1コンストラクターズ/ドライバーズ両タイトル2連覇を成し遂げたレッドブルだが、2024年には苦戦し、まさかのコンストラクターズ3位に転落した。マックス・フェルスタッペンはドライバーとしての真価を発揮し、最速でないマシンで9勝を挙げ、4度目のタイトルを獲得したが、チーム全体にとっては課題の多い一年だった。
18日の『F1 75 Live』を前に2025年型マシンのシェイクダウンを行うチームもあるなかで、レッドブルはニューマシンについての情報を一切明かさずに合同ローンチイベントに臨んだ。
当日はチーム代表クリスチャン・ホーナーとともに、4度のF1チャンピオンであるフェルスタッペンと、セルジオ・ペレスに代わって新たなチームメイトとなったリアム・ローソンのドライバーペアが登場した。
ザ・ローリング・ストーンズの「スタート・ミー・アップ」にあわせて映像を披露した後、ホーナーがまず登場。その瞬間、会場からブーイングが起こるなか、ホーナーは淡々とスピーチを行った。
その後、再び事前準備されていた映像が流れた。レッドブルのトランスポーターのトラックが走り、そのトランポを大勢の人々がカスタムカーやバイクで追いかけ、皆が会場に到着するという演出。カスタムカーが並んでドリフトするなど、映像はまるで映画のワイルド・スピード、シリーズのようなクオリティだった。フォード・マスタングやリトラクタブルのホンダNSXの初期型が登場するなど、今年から来年にかけてパワーユニットメーカーが変わる配慮も感じられた。
その映像後、会場のステージ後方が実際のマシンが姿を現す。ニューマシン、フェルスタッペンとローソン先導のもと、映像に登場していた人物たちと同じか、大勢の人々に囲まれて登場。マシンの詳細は映されなかったが、ネイビー基調という基本コンセプトを維持し、スポンサー入れ替えにより、新スポンサー『Gate.io』『1Password』などの企業ロゴが加わっていた。なお、フェルスタッペンとローソンのインタビューは行われず、観客に手を振ったままレッドブルのショーは終了した。
2024年開幕直前に、ホーナー代表のスキャンダルが発覚し、不穏な雰囲気のなかでシーズンを開始したレッドブルは、序盤戦は好調だったものの、中盤からフェルスタッペンとセルジオ・ペレスは、2024年型マシンRB20の挙動に苦しみ始めた。フェルスタッペンはそんななかでも最大限の結果を残し続けて、自身4度目のドライバーズタイトルを獲得。しかしペレスのパフォーマンスは低下し続け、それがコンストラクターズ選手権の結果に大きく影響した。
チームが不調に陥るなかで、重要な人材が流出。まず、天才デザイナーでチーフテクニカルオフィサーを務めたエイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンへの移籍を決めた。さらにスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーは、ザウバー/アウディのチーム代表に就任することに。レッドブルは、こうしたビッグネームの離脱に、外部から人材を補充することはせず、内部のスタッフを活用するという対策で2025年に臨む。
2025年はレッドブルにとって、重要なシーズンになるだろう。まず、パワーユニット・パートナーであるホンダとの提携において最終年であるため、当然のことながら、両者ともが、最高の結果を出してパートナーシップを締めくくりたいと考えているはずだ。
また、2024年終盤に見せていた向上の傾向を維持して復活することが、フェルスタッペンを引き留められるかどうかの鍵になる。フェルスタッペンはレッドブルと2028年までの契約を結んでいるが、マシンのパフォーマンスが低下するにしたがって、契約を打ち切って他チームに移籍するのではないかという推測が高まってきた。2026年にはホンダと袂を分かち、フォードのサポートを得てレッドブルが自社で製造したパワーユニットを使用するが、その性能は不透明だ。
現時点でフェルスタッペンは、レッドブルへの忠誠心を強調している。それを維持させるためには、レッドブルはまずは2025年に良いマシンを用意する必要があるだろう。
熾烈なコンストラクターズ選手権でライバルと戦うためには、フェルスタッペンの新チームメイトであるローソンが安定して良い成績を出す必要がある。初のF1フルシーズンをビッグチームで戦うローソンが、チームから最適なサポートを得て、ボスを満足させるパフォーマンスを発揮できるかどうか、注目される。