「F1ドライバーはロールモデルであるべき」と不品行規定を支持する声。一方で、FIAの強引な決定方法には批判も
『Sky F1』解説者のマーティン・ブランドルは、FIAが施行する厳格な“不品行規定”への支持を表明し、F1ドライバーが「ロールモデル」であることの重要性を強調した。一方で、FIAがこの規則変更を決めた強引なやり方には批判の声も出ている。
FIAは2025年F1シーズンに向けて国際モータースポーツ競技規則を改訂し、コース内外でのドライバーの行動に責任を負わせることを目的とした新たな不品行規定を導入した。
これらの変更により、悪態をついたり、統括団体や役員を公然と批判するなどの違反行為を繰り返すと、多額の罰金、選手権ポイントの減点、さらにはレース出場禁止など、深刻な結果を招く可能性がある。
FIAライセンス保有者による初回違反には、基本罰金1万ユーロ(約150万円)が科せられる。しかしF1ではすべての基本罰金は段階的に4倍となり、F1ドライバーは初回違反で4万ユーロ(約600万円)の罰金、2回目の違反で8万ユーロ(約1200万円)の罰金プラス1カ月の出場停止(執行猶予付き)、3回目の違反で12万ユーロ(約1800万円)の罰金プラス1カ月の出場停止とチャンピオンシップポイントの減点というペナルティを受ける。
ブランドルは『Sky Sports News』に対し、F1ドライバーには、将来レーサーを目指す若者やファンに模範を示す責任があると強調した。
「我々はロールモデルだと思う。F1ドライバーはロールモデルだ。記者会見で不当に悪態をつく必要はない」とブランドルは語った。
元F1ドライバーのブランドルは、レース中に競技者が感情的になる場面があると認めながらも、コクピットの外ではプロフェッショナリズムが優先されるべきだと主張した。ブランドルは、審判への敬意がスポーツの特徴となっているラグビーを挙げて、F1でも同様の精神を採用すべきだと示唆した。
「興奮の瞬間、車中でアドレナリンが溢れ、絶望や幸福感で満たされる。何であれ、私はそのことを完全に理解している」
「私がラグビーを好きなのは、審判を尊重するからだ。F1も同じであるべきだと思う。今のドライバーたちは、これからやって来るドライバー全員にとってのロールモデルなのだ」
ブランドルは、新たなルールを適用する際には状況を考慮する必要があるとも考えているが、この取り組みはスポーツのイメージと文化にプラスの影響を与える可能性があると強調した。
「コース上で不正行為をしたり、トラックリミット違反をしたり、たとえばFIAのスチュワードを『愚かなばか者』と呼んだり、そういった理不尽な行為があったとする。こうしたことには程度があり、どれだけ厳格に対応したいかとは、全く別の話だ」
「だが、我々の素晴らしいF1ドライバーたちが、模範的なロールモデルとなることを促すルールについては、大いに賛成だ」
FIAによる今回の決定の経緯は、物議を醸している。『BBC』の報道によると、モハメド・ビン・スライエムFIA会長は、F1ドライバーたちの協会グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)やFIA独自のドライバーズ委員会を含む、主要な関係者との協議を経ずに、この件を突然の電子投票によって押し通したようだ。
FIA内部の情報筋はこの動きを批判しており、ある関係者はこの決定を「ばかげている」と評し、ビン・スライエムが独裁者のように振舞っていると非難した。世界モータースポーツ評議会(WMSC)での議論不足も、透明性に関する疑問を引き起こしている。ある人物は、「このような行動は正しくなかった。なぜWMSCの次回の議題になっていないのだろうか?」と疑問を呈したという。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています