2024.12.30

【F速プレミアム】
予想されたペレスの不名誉な終わり/スペイン人ライターのF1コラム


(c)XPB Images
 2年の契約が打ち切られ2024年シーズン限りでレッドブルのシートを失うことになったセルジオ・ペレス。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがペレスの苦境について語る。
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 セルジオ・“チェコ”・ペレスは、2025年にレッドブルからレースに出場することはない。これは予想どおりの結論であり、両者の希望が一致していないように思われた長期にわたるプロセスを経て、ようやくチームとドライバー自身によって発表された。物事がこれほど長引いた理由は、レッドブルが自分たちの思いどおりにするために、つまり来年に向けて新鮮な血を注入できるようにペレスを早期に解雇するために、かなりの交渉が必要だったからだと、私は少しも疑っていない。

 しかしながら、この決定はアブダビGP後に下されたからということで、土壇場での出来事だったと主張する人もいる。一方で、シーズン最終戦の前に必ずしも締結されていなかったとしても、実際にはすでに知られていたという兆候もある。これは、メキシコ人ドライバーにとって不名誉な終わりとなる。
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 ペレスについては、2022年のモナコGPを含む5回の優勝と、2023年のドライバーズ選手権での準優勝など、誇るべきことは多くあるが、今回の決断はレッドブルにとって正しい判断だった。実際、チームメイトのフェルスタッペンがスポーツ史上かつてないほど圧倒的な強さを見せていた2023年後半、ペレスのパフォーマンスが劇的に低下したことから、彼はレッドブルで2024年シーズンをスタートするべきではなかったと主張する人もいた。私も同意するが、レッドブルがペレスの残留を望んだ理由は理解できる。

 一方で、しばしば「タイヤを読み取る者」と呼ばれた彼が、とりわけストリートサーキットで輝きを放ち、かつての競争力のあるパフォーマンスを取り戻すことができるだろうという、ひそかな確信もあった。またチームにとっては安定性を保つことも重要だ。実際、2025年と2026年の再契約につながったのは、まさにこれが理由だった可能性が高い。レッドブルがシーズン序盤の波乱に満ちた展開を迎えるなかで、レッドブルF1代表のクリスチャン・ホーナーはヘルムート・マルコと激しく対立しておりヨス・フェルスタッペンはホーナーではなくマルコを支持していた。

 いずれにせよ、ペレスにはあと2年の契約があったが、2024年の彼のパフォーマンスは昨年よりもいっそう疑問視された。最初の数戦は好調で、最初の5回のグランプリのうち4回は表彰台に上がった。第6戦マイアミGPで4位になったが、その後は散々なものだった。レッドブルRB20の不調が一因ではあったが、ペレスはトップ5以内に入ることができず、チームはマクラーレン、フェラーリ、メルセデスにますます追い詰められていった。

 レッドブルはコンストラクターズタイトルを獲得したかったが、ペレスのせいで2024年のタイトルを失ったといえる。ただ私は、2024年はマクラーレンが十分なアドバンテージを持っていたため、レッドブルに違うドライバーがいてもポイントで彼らに勝つのは困難だったと思う。それでも解決策はドライバーを変更することだった。2025年はリアム・ローソンがレッドブルに加入することが発表されたが、フェルスタッペンにとって誰がチームメイトになっても関係ないだろう。

(c)Red Bull
 F1の歴史を振り返ると、ペレスは世界チャンピオンのチームメイトのなかで最もパフォーマンスが低いドライバーのひとりとなった。実際、チャンピオンのチームメイトでこれほど遅れてシーズンを終えた最後のドライバーは、1994年のヨス・フェルスタッペンだった。ただ、当時のヨスは、フルシーズンでレースに出ていなかった。

 統計はさておき、多くのものがかかっているのだから、どのチームもパフォーマンスに期待を持てないドライバーを抱えたいとは思わないだろう。たとえば、フェルスタッペンがドライバーズタイトルを争うために、チームメイトのサポートを必要としていたとしたらどうだろう。

 この状況は、モータースポーツの厳しい現実を改めて示している。ペレスは契約を結んでおり、現世界チャンピオンのチームメイトだったが、それでもシートを守るに足る安定性を保証するには十分ではなかった。もちろん、レッドブルがドライバーの扱いに関しては容赦ないことは知られている。ペレスの前にもピエール・ガスリーやアレクサンダー・アルボンのケースがあったが、このメキシコ人ドライバーを取り巻くうわさが過去半年の間に激化していたとしても、それは今シーズン最大のニュースのひとつであることに変わりはない。

 ペレスは2025年に何をするだろうか?ホーナーの発言によれば、ドライビングの分野ではないものの、レッドブル・レーシングと関わりを持ち続けることになるという。これは、ペドロ・デ・ラ・ロサがアストンマーティンで行っているのと同様に、“チェコ”がアンバサダーの役割を担う可能性があることを意味する。これには、シミュレーター作業が含まれる可能性があり、レースドライバーのいずれかがレースに参加できないような問題を抱えた場合に備えて、リザーブを務める可能性もある。

 2025年のレッドブルは困難に直面する可能性がある。まずレッドブルRB21が必ずしも最高のマシンではないかもしれない。3つのライバルチームがいる状況で、新たなチームメイトとなるローソンの学習プロセスも必要だ。それでも、これらは非常に興味深い2025年シーズンに向けて、心に留めるべきエキサイティングな要素だ。ドライバーの交代について、どのように考えるだろうか?個人的に私は、ペレスのパフォーマンスは十分ではないように感じると常に言ってきた。レッドブルはローソンを選択したが、RBに残った角田裕毅が、自分自身を証明することに非常に貪欲であるだろうと思わずにはいられない……。

(c)XPB Images

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

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