【F1第23戦無線レビュー(2)】ピットロードでの並走に驚くマグヌッセン「アロンソがしていることはやってもいいの?」
2024年F1第23戦カタールGP。レース中盤、アレクサンダー・アルボンのマシンからミラーが落下し、その後デブリが散らばったことで、ダブルイエローフラッグが掲示された。この時減速を怠ったとして2番手走行中のランド・ノリスに重いペナルティが与えられ、コンストラクターズ選手権を争うマクラーレンは痛手を負ったのだった。カタールGP後半を無線とともに振り返る。
────────────────────
F1第23戦カタールGPのレース折り返し点を過ぎた30周目。首位は依然としてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。ランド・ノリス(マクラーレン)が約2秒後方で食い下がっていた。
30周目
ウィル・ジョゼフ:どこまで引っ張れそうか、教えてくれ。
ノリス:もっと大きな声で言ってよ。
ジョゼフ:どこまで引っ張れる? フェルスタッペンに対抗できるなら、そのままペースを上げてくれ。
その直後、アレクサンダー・アルボンのウイリアムズマシンからミラーがはずれ、メインストレート上に転がった。
31周目
フェルスタッペン:黄旗だからアクセルを戻すんだよね。ランドはリフトしてないと思う。チェックしてくれ。
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ランドはリフトしていない。
フェルスタッペン:ちゃんと(FIAに)レポートしてくれ。
フェルスタッペンとノリスの差が、一気に縮まった時があった。ノリスが加速したのが、ミラーが放置され黄旗が出ている区間だと判断したのだろう。
34周目
ルイス・ハミルトン:パンクだ
左フロントタイヤがパンクチャー。立て続けにカルロス・サインツ(フェラーリ)も、同じ左フロントのパンクに見舞われた。
35周目
サインツ:左フロントがおかしい
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、サインツらが次々にピットに向かい、直後にセーフティカー(SC)が導入された。
23周目に早めのピットインでハードに履き替えていたラッセルが、SCのタイミングで2度目のピットイン。再びハードが選択された。
37周目
ラッセル:どうしてハードをつけたんだ? なぜなんだ? このタイヤ、XXなのに
ハードタイヤの挙動が、気に入らなかったようだ。しかしミディアムタイヤは、ユーズドしか残っていない。
ピットロードを行くケビン・マグヌッセン(ハース)に、フェルナンド・アロンソが傍から迫る。そのまま2台並走し、アロンソが先にピットアウトしていった。
マグヌッセン:何が起きているんだ? これって、あり? アロンソがしていること、やってもいいの?
マーク・スレイド:チェックしている。
セーフティカー明け間近になって、フェルスタッペンが異常を知らせた。再スタート前には消灯するはずのセーフティカーのライトが、点いたままになっているという。
39周目
フェルスタッペン:ライトが点いたままになっている。
ランビアーゼ:待機だ。待機しろ。
ランビアーゼ:再スタートの準備をするんだ。よし、ライトが消えたぞ。
フェルスタッペン:ライトの不具合だね。
ノリスも異常に気付いていた。
ノリス:セーフティカーのライトが全然消えてないよ。
5番手まで順位を上げていたセルジオ・ペレス(レッドブル)は、SC周回中の39周目にスピン。リタイアを喫した。駆動系のトラブルのようだった。
ペレス:ドライブを失った。
2番手を行くノリスに、黄旗で減速しなかったことに対し厳しい裁定が下された。
45周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ランドは10秒ストップ&ゴー、2周以内にピットするぞ。
ジョゼフ:10秒ストップ&ゴーのペナルティだ。この周にボックスだ。
ノリス:なんで?
ジョゼフ:黄旗で減速しなかった。
レース終盤、周冠宇(キック・ザウバー)は8番手まで順位を上げていた。
46周目
ヨルン・ベッカー:アロンソが25秒2で走っている。
周:ほっといてくれ。プッシュしている。
47周目
ピーター・ボニントン:ルイス、ピットレーンでの速度違反で、ドライブスルーペナルティだ。最初のセーフティカーで、ボタンを押し忘れたようだね。
ハミルトン:じゃあ、もうリタイアしよう。
ボニントン:いや、この周にペナルティを消化しよう。
ハミルトン:クルマを止めようよ。
ボニントン:ダメだ。
ハミルトン:ピットに入ったら、スイッチを切るよ。
ボニントン:わかった。次のレースで5秒ペナルティを受けてもいいのなら、そうするんだ。
完全に戦意喪失したハミルトン。ボニントンの説得で、なんとかレースを続けた。
レースはスタートで首位を奪ったフェルスタッペンが、そのまま独走した。2戦前のサンパウロに続く勝利だ。
フェルスタッペン:また信じられないレースだったね。存分に楽しんだよ、ハハハ。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)も望外の5位入賞を果たした。
ガスリー:レッツゴー!!!
カレル・ルース:P5だ、
ガスリー:最高だ……。マグヌッセンはどこだ?
ルース:P9だ。僕らはP5だ。よくやった。
ガスリー:5ポイント差ということだね?
ルース:そう。僕らが抜き返したんだ。
ガスリー:クルマは素晴らしかったよ。昨日と全然違った。
熾烈なコンストラクターズ選手権の6位争い。スプリントを終えた時点では、ハースが2ポイント先行していた。それがガスリーの5位入賞で、アルピーヌは再び6位に復帰した。
そして周が、23戦目にして今季初入賞を遂げた。
ベッカー:P8。素晴らしい。
周:レッツゴー!!
ベッカー:ドライバー・オブ・ザ・デイにも選ばれたぞ。