元F1最高権威者エクレストン、自身の持つF1マシンを含む69台のコレクションを売却へ
F1の元最高権威者バーニー・エクレストンは、50年以上にわたって集めた69台のグランプリカーやF1マシンからなる、驚異的なコレクションを売りに出している。
レースの歴史に包まれたこの素晴らしいコレクションは、イギリスを拠点とする高級車および高性能車の専門家であるトム・ハートレーJr.を通じて、最終的な取引額を公開しないまま、当事者間の取引が行われている。
94歳のエクレストンは、オートバイのセールスマンとしてキャリアをスタートした。その後、現代のF1のCEOへと上り詰め、1950年代からグランプリカーやF1マシンの熱心なコレクターとなっている。彼のコレクションは、伝説的なマシンと珍しいユニークなデザインのマシン双方を含む、モータースポーツの最高峰の歴史を反映するものだ。
注目すべきハイライトとしては、コンストラクターズ選手権が初めて開催された年にスターリング・モスが駆ったヴァンウォールVW10、1951年イタリアGPで優勝したアルベルト・アスカリのフェラーリ375、1958年にチャンピオンとなったマイク・ホーソーンのディーノ(フェラーリ 246F1)、ミハエル・シューマッハーが走らせたF2002などがある。
エクレストンのコレクションには、ニキ・ラウダが1978年のスウェーデンGPで優勝した、革新的なブラバムBT46“ファン・カー”などの珍しいマシンも含まれている。このマシンは、2001年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに登場するまで、何十年もの間、一般の人々の前から姿を消していた。
エクレストンが1970年代初頭から1980年代後半までチームオーナーであったことを考えると、ブラバムのマシンがラインアップの大部分を占めることは予想通りだが、フェラーリ愛好家として保有しているキャバリーノランパンテも同様に輝きがある。
「私は50年以上こうしたクルマを集めているが、これまで買ったのはどれも最高のものばかりだ」とエクレストンは説明した。
「長年にわたり、他の多くのコレクターがスポーツカーを選んできたが、私の情熱は常にグランプリカーとF1マシンにあった」
「グランプリ、特にF1マシンはスポーツの頂点であり、どんなロードカーや他の形式のレースカーよりもはるかに重要だ。私が長年にわたり購入したすべてのクルマは、素晴らしいレースの歴史を持つ希少な芸術作品だ」
エクレストンは、コレクションを売却するという決断を軽々しく下したのではない。彼の動機は、クルマがきちんと手入れされ、将来の所有者によってその真価が十分に認識されることにある。
「私は自分のクルマをすべて愛しているが、もし自分がこの世にいなくなったら、これらのクルマがどうなるのか考え始める時期が来た。だから、売却することに決めたのだ」とエクレストンは語った。
「長い間収集し所有してきたので、それらがどこに行ったのか知りたいし、私がいないときに妻に処理を任せたくない」
「トムが私のために販売を担当するのは、彼が誰よりもクルマのことをよく知っているからだ。彼の事業はクルマを売るのに最適だ。私にとって重要な透明性が保証されている」
エクレストンが以前売却したなかには、注目に値するクルマが含まれており、2007年にはRMサザビーズを通じて50台のクルマをオークションにかけている。しかし今回の売却は、F1の黄金時代に焦点を当てていることが顕著だ。
エクレストンが売却を決めたことは、コースの内外でF1を形作ってきた男にとって、ひとつの時代が終わることを意味する。彼のコレクションはモータースポーツの歴史の精神を体現している。新しい管理者に引き継がれることで、これらの素晴らしいマシンが今後何世代にもわたってインスピレーションを与え続けることが保証されるだろう。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています