ラッセルのタイヤ戦略は誤りだったとメルセデスが認める。一方でノリスと同時のピットインは「理にかなったこと」と主張
メルセデスF1は、F1第21戦サンパウロGPのレース前半に首位を走行していたジョージ・ラッセルをピットストップさせたのは誤った判断だったかもしれないと認めたが、トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、それが最も安全な判断だったと擁護した。ショブリンはまた、レースディレクターがバーチャルセーフティカー(VSC)期間がもうすぐ終了すると通告した時点では、ラッセルとその後方のノリスがすでにピットエントリーに向かっていたため、決定を変更する時間はほとんどなかったと指摘している。
このVSCはニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がターン1でスピンして停止したために発令された。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、オリバー・ベアマン(ハース)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)はいずれもVSCの開始時にピットインしたが、トップ3のドライバーだったラッセル、ランド・ノリス(マクラーレン)、角田裕毅(RB)がピットに向かったときには、事実上レースはすでに再開されていた。
ショブリンは、「後から考えれば、ほとんどのレースは違うやり方で戦っていただろうが、今回の場合間違いなくそうしていただろう」と認めた。
「重要なことのひとつは、VSCが終了すると発表された後、ジョージをコース上に留まらせる判断のためにほんの1秒か2秒という、非常に短い時間しかなかったということだ。そうした理由は、いずれにせよその時点でピットインによる完全な損失を被ることになるからだ。実際にそうなったように、誰かがクラッシュする可能性が高いという事実に賭けて、そのままコースに留まった方がよいだろう。そしてレッドフラッグが出ざるを得ない状況になるだろう」
しかしショブリンは、悪化する天候状況を考慮すれば、新しいタイヤに交換するためにピットインするのは正しい行動だったと断固として主張し、次のように説明した。
「ランドがピットインしていたので、ジョージもそうすることができたから、我々にとってピットインすることは理にかなったことだった。彼は、ステイアウトしていたマシンよりも、まだ前にいたはずだ」
「赤旗と判定されなかった場合、新品のタイヤを使用できるという利点がある。通常、我々は赤旗が出ると想定しないようにしている。なぜなら、正しい判断を下すこともあれば、間違った判断を下すこともあるからだ。セーフティカーが出ていて、赤旗を見込んでステイアウトを決めた場合、赤旗が出なければ困ったことになる。しかし明らかに、ステイアウトしたマシンにとってその賭けは成功した。彼らは最終的に好位置につけたのだ」
それが当時のレースリーダーだったエステバン・オコン(アルピーヌ)や最終的に勝者となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、そしてバルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)に起こったことだ。だがボッタスだけは、フリーピットストップ後に新品のインターミディエイトタイヤを十分な温度に上げることができなかったため、その機会を有効に活用することができなかった。