2025年は最速ラップポイントが廃止。F1規則の変更でルーキーのFP1起用は4回に倍増に
10月17日、世界モータースポーツ評議会(WMSC)の2024年第3回会合が開催され、FIAがその協議内容と決定事項について発表した。F1に関しては、2025年のレギュレーション変更点として、ファステストラップ獲得者に与えられるボーナスポイントを廃止することと、若手ドライバーのフリープラクティス出場機会を増やすことが明らかにされた。
トップ10圏内でフィニッシュしたドライバーがファステストラップを記録した場合、ボーナスポイントとして追加で1ポイントを与えるというシステムは、レースの興奮の要素を増やすため、2019年に導入された。
しかしこのルールは期待どおりの効果を発揮しないことがしばしばあった。後方に大きなギャップを築いたドライバーが、追加ポイントを確保するために、タイヤ交換を行い、フレッシュなタイヤでアタックするケースが多かった。前戦シンガポールGPでは、18番手を走るRBのダニエル・リカルドが終盤にソフトタイヤに履き替えて、それまでランド・ノリス(マクラーレン)が保持していたファステストラップを塗り替えた。結果的にそれは、ノリスとタイトル争いをしているマックス・フェルスタッペンとレッドブルを助ける形になり、マクラーレンから非難の声が上がった。
FIAは今回のWMSC会合において、この批判を受けることが多かったファステストラップポイントを2025年には廃止することを明らかにした。ドライバーがレースで獲得できる最大ポイントは、優勝時の25ポイントとなる。
2025年のレギュレーション変更点として、もうひとつ明らかにされたのは、F1昇格を目指す若手ドライバーたちをフリープラクティスで走らせる機会を増やすことだ。現在の規則では、マシン1台につきシーズン1回が義務となっているが、これが2回に変更され、チームは合計4回、若手を乗せることになる。
F1テストの機会が減っている現在、若手ドライバーがF1マシンに乗る機会を増やすための措置が検討されており、最終戦後のアブダビテストでも、各チームは若手を乗せる義務を課されている。アブダビについては、テスト走行ではなく、ルーキーによるスプリントレースを開催する案があったが、2024年に関してはこのプランは棚上げになり、2025年に向けて時間をかけて検討することになった。
今回のWMSC会合後の発表においては、新世代F1マシンが登場する2026年以降のレギュレーションについて、大幅な変更として「規則のレイアウト方法が再編成され、明確さと一貫性のためにテーマ別のセクションに分割される」ことが明らかにされた。新構造への以降は、今後数カ月で完了するという。
2026年レギュレーションでは、競技規則はセクションB、技術規則はセクションC、財務規則はセクションDとされる。
今回、6月に公表された新規則の内容が改めて確認された。2026年には、空力規則が大きく変更され、マシンパフォーマンスを向上させるとともに、乱流の管理を継続し、接近戦の促進を狙う。また、「パワーユニット(PU)のエネルギー管理と調整可能な空力管理を規制する措置」として、『直線モード』(ロードラッグ)と『コーナリングモード』(ハイダウンフォース)が導入される。これはバトル促進を狙う新システムだ。
新世代パワーユニットの導入を考慮し、2026年のプレシーズンには3日間のテスト3回が実施されることも、改めて確認された。
2026年レギュレーションパッケージ完成のため、今後数カ月のうちに、さらなる要素が世界評議会に提出される予定で、すでに承認された規則については、FIA、FOM、F1チームの協力により、さらなる改良が加えられるということだ。