サインツ「ウイリアムズF1をどう助けるかが僕のモチベーション」移籍で一時的に勝機から離れることを恐れず
カルロス・サインツがトップチームであるフェラーリからウイリアムズに移籍することは、大きな後退のように思えるかもしれないが、彼は少なくとも中期的にF1でレース優勝を争うことができなくなる可能性を恐れていない。
2024年のF1シーズンが始まる前に、フェラーリが7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンを迎えることを決定した後、サインツはチームで自身が宙に浮いた存在になっていることに気づいていた。この衝撃的な移籍は、サインツ自身だけでなく多くの人たちを驚かせた。メルセデスは過去2シーズンにわたり苦戦していたものの、ハミルトンがメルセデスという家族のようなチームを離れるとは誰も考えていなかったからだ。
メルセデスとレッドブルはサインツの才能にふさわしいように見えたが、両チームは結局彼を起用せず、サインツには最終的にザウバー/アウディ、アルピーヌ、ウイリアムズという中団での3つの選択肢が残された。サインツは、ウイリアムズのチーム代表ジェームズ・ボウルズの長期的なビジョンと、チームの復活に重要な役割を果たす機会に心を惹かれ、ウイリアムズを選んだ。
3度のグランプリウイナーであるサインツは、ウイリアムズへ移籍することで、定期的に上位で競争するチャンスが一時的に失われることを十分承知している。しかしサインツは、フェラーリ以前のキャリアの大半において、まさにそのような環境でレースをしてきたため、中団での戦いにすぐに適応できると自信を持っている。
「正直に言うと、僕はF1に10年いるけれど、そのうち8年は優勝を争っていない。優勝を懸けて戦っているのは、2、3年だ」と、サインツは最近シンガポールでメディアに語った。
「だから、僕は勝つために戦うよりも、勝つために戦っていない時間の方が長かった。僕にとって、F1はマシンから最大限の力を引き出すことが重要なんだ」
サインツにとって、ウイリアムズでの新たな挑戦は単なる結果以上のものだ。彼は、将来に向けて構築していくチームを支援することに集中していくだろう。勝利や表彰台はすぐには得られないかもしれないが、適切な投資とビジョンがあれば前進できる大きな可能性があるとサインツは信じている。
「結果は純粋にアスリートやドライバーによって決まるのではなく、ドライブするマシンによっても決まる」
「そしてウイリアムズをどう助けるか、プロジェクトをどう前進させるかということが、僕のモチベーションだ。僕は自分の話を聞いてもらいたいし、自分が力になれると感じたい。ウイリアムズのような歴史あるチームには明確なビジョンがあり、非常に明晰な投資パートナーとともにチームをふたたびトップへと導くことに全力が注がれている」
「これは僕にとって重要なことだった。2025年に出る結果は勝利や表彰台ではないかもしれないが、それでもいい結果を出せると信じている」
サインツのシーズンは、コース外での困難がなかったわけではない。フェラーリに残留できないと知り、その後キャリアを次のステップに進めることは、たとえそれがコース上のパフォーマンスには表れなかったとしても、精神的に大きな負担となった。
「フェラーリのドライバーとして高いレベルで競争しながら、同時に自分の将来についてこのように重要な決断を下さなければならないことは、簡単ではない」とサインツは語った。
「確かにそのことは、僕の心のスペースをかなり奪った。僕はいつも率直で正直だったと思う。深く苦しんではいなかったし、そこまで苦しんではいなかったことを結果が示していた。でも、それは確実に僕の頭からエネルギーを奪い、精神的なエネルギーを奪った」
ウイリアムズへの加入を決断すると、のしかかってくる将来の重荷に悩まされることなく、フェラーリでの残りのシーズンに完全に集中できることがわかり、サインツは安堵感を覚えたという。
「決断を下した後、少しほっとした気持ちで休暇に入ったのを覚えている」
「これでオーケーだ。スイッチを切り、バッテリーを充電して、次の10レースに戻る必要がある。そこでは自分の将来を決めることなく、フェラーリでの10レースで結果を出すことだけに集中する。そしてこれらのレースの後には、ウイリアムズについて考えたり話したりする時間が十分にあるだろう」
不確かな未来に直面してもサインツが冷静な態度を保っているのは、彼の豊富な経験の証であると同時に、このスポーツの本質を理解していることの証でもある。F1は個人の才能だけでなく、ドライバーが使えるマシンも重要だ。ウイリアムズにはすぐに勝利を争う能力はないかもしれないが、サインツは長期戦に注力しており、たとえ結果がすぐに出なくても、チームをかつての状態に戻すことに貢献しようとしている。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています