開催時期が変わり、昨年以上の高温が予想されるF1アゼルバイジャンGP。ピレリは旧市街区間での路面温度の変化を懸念
F1にタイヤを供給するピレリは、今週末の2024年F1第17戦アゼルバイジャンGPについて、気温の高い9月にレースが開催されることで旧市街区間や長いストレートの開始点の路面温度が大きく上がることを懸念している。
バクーのストリートサーキットは、ドライバー、チーム、そしてタイヤにとっても特に厳しい課題だ。なぜなら、2km近くを全開で走るセクションを含むいくつかのロングストレートと、多数の直角コーナーが組み合わさっているので、すべてのセクションで完璧なセットアップを実現するのは不可能だからだ。
ピレリはこのユニークなストリートサーキットで、それなりのトラブルを経験してきた。2021年にはマックス・フェルスタッペンとランス・ストロールのふたりが、コースの縁石を激しく乗り越えたためにタイヤウォールの構造に破損が生じ、メインストレートで左リヤタイヤがパンクしてリタイアを余儀なくされている。
この場合にピレリがとる通常の手順は、タイヤの空気圧をさらに高めることだ。アゼルバイジャンにはタイヤラインアップのなかで最もソフト寄りの3つのコンパウンドであるC3、C4、C5が持ち込まれ、今週末に許可される最低タイヤ空気圧はフロントタイヤが26.5psi、リヤタイヤが25.5psiとなっている。たとえばモナコと比較すると前後ともに6.5psiの増加となり、ピレリは構造の損傷を避けるために、タイヤカーカスからのいかなる横方向の動きも止めたいと考えていることが分かる。
ピレリはプレビューのなかで、「サーキットは2016年からほとんど変わっておらず、20カ所のコーナーがある」と述べた。
「最初の7カ所など一部のコーナーは実質的に直角のカーブだが、旧市街を通る他のコーナーは非常に低速だ。そして一部は全開で走行する。そこはスタート/フィニッシュラインへ抜ける2kmのストレートとして扱われるトラックセクションの一部だからだ。コース幅は多様で、ターン8ではわずか7mだが、メインストレートでは3台が並んで走れるほどの幅がある」
「サーキットは通常、都市交通に開放されているため、パフォーマンスを評価する際にはトラックの変化が重要な要素となるが、天候も影響を及ぼす可能性がある。通常9月はかなり暑く、レースが4月に行われていたときよりも気温が確実に高くなる」
ピレリとチームにとって非常に懸念されるのは、「特に旧市街を通る区間では、どの部分が日光に当たっているか、または周囲の建物の影になっているかによって、路面温度が大きく変化する可能性がある」ということだ。メインストレートは、ターン2と3の間のバックストレートと同様に、最も太陽光にさらされるため、両方のストレートの開始地点でタイヤが最高温度に達する。そのため、ターン18とターン1および2の出口の縁石を避けることが、タイヤウォールに構造的な損傷を与えないようにするための最も安全な方法だ。ただしこれは言うのは簡単だが、ストリートサーキットでマシンの絶対的な最大性能を引き出そうとしているときにやるのは難しいことだ。