【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第15戦】圧勝ノリスと驚異的な速さを見せたガスリー
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はオランダGPの週末を振り返る。
───────────────────────────
オールドサーキットのザントフォールトでは、ドライバーがミスを犯せる余地はほとんどない、というか全くないといってもいい。そのため、ここで良い週末を過ごしたドライバーは、ミスをすることなく速く走るという素晴らしい仕事をしたことになる。困難なサーキットであるために、ドライバーの評価には大きな格差が見られた。
ランド・ノリス(マクラーレン):予選1番手/決勝1位
ランド・ノリス(マクラーレン)は週末を通して素晴らしいパフォーマンスを見せた。予選では驚異的なペースを発揮してポールを獲得。決勝では大差で勝利を収め、レースの3分の2の距離を走ったタイヤで、最終周にファステストラップを記録する余裕すらあった。
確かにスタート直後にリードを失ったが、これは彼自身の過失ではなかった。実際にはマックス・フェルスタッペンと同時に発進したものの、ソフトウエアのセッティングの影響でポジションを落としたのだ。
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選6番手/決勝3位
週末を通してノリスと同レベルだったのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)だけだった。フェラーリがザントフォールトに対して懸念を抱いていたにもかかわらず、ルクレールは予選で優れたパフォーマンスを見せ、決勝ではさらに良い結果を出し、自身でも予想外と認める表彰台をつかんだ。
スタートでセルジオ・ペレスをかわし、ピットストップを通してオスカー・ピアストリとジョージ・ラッセルの前に出ることに成功。その後、40周にわたり、完璧な走りを続けて、速さで大幅に勝るマクラーレンを最後まで抑え切った。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選2番手/決勝2位
地元のヒーロー、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ピアストリがノリスに匹敵する速さを持たなかったことで、2位という今回最大限の結果を手にすることができた。予選でノリスに太刀打ちできなかった後、決勝スタートでトップに立ち、レース序盤をリードした。しかしノリスに追い抜かれてからは、急速にギャップが拡大した。それは、ミディアムタイヤでプッシュしすぎたからかもしれないが、フェルスタッペンがなんとか勝ちたいと思い、やれるところまでやろうとしたことを、責めることはできない。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選9番手/決勝9位
アルピーヌにとって厳しいと予想されたザントフォールトで、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は週末を通してほぼ完璧な走りをした。Q2で驚異的なタイムをたたき出し、Q3では自身でそれを更新できないほどだった。
決勝1周目での走りがレースを決定づけた。ターン1でランス・ストロールをかわし、ターン1と3でフェルナンド・アロンソのアウト側を走り、前に出た。これによりガスリーはフリーエアで走ることが可能になったわけだが、ピットストップの遅れによりトラフィックのなかで走ることに。しかしガスリーは、アレクサンダー・アルボンとニコ・ヒュルケンベルグをパスして、貴重な2ポイントを手にした。
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選10番手/決勝5位
カルロス・サインツ(フェラーリ)にとって厳しい週末だったが、立ちはだかる困難すべてに、彼はうまく対応した。初日にトラブルに見舞われ、予選前にドライ路面で走行する機会がほとんどなかった影響で、Q2で敗退。それでもルクレールとの差は0.225秒にとどまった。
レース中にサインツはポジションを上げることに成功。ミディアムタイヤを酷使することなくアストンマーティン勢とガスリーを抜き去った後、グリッドではるか前にいたラッセルとペレスに勝って5位をつかんだ。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝4位
=評価 7/10:肝心なタイミングでノリスに匹敵する速さがなかった。その理由も説明がつかない。
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選4番手/決勝7位
=評価 7/10:予選では好結果を出したものの、決勝のハードタイヤでペースを全く発揮できなかった。
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選11番手/決勝8位
=評価 7/10:予選Q2で不可解なペース不足に陥ったが、レースでのペースは良く、見事な挽回を果たした。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選7番手/決勝10位
=評価 7/10:予選でなんとかチームメイトに勝った後、決勝では優勢で、1ポイントをつかんだ。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選失格(8番手タイムを記録)/決勝14位
=評価 7/10:マシンの規定違反という、ドライバーに非がない理由で予選失格に。レースでポジションを上げ、実力を示した。
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選5番手/決勝6位
=評価 6/10:予選でもレースでも、トップグループの一員に戻ることができた。ただ、チームメイトのペースには遠く及ばない。
ダニエル・リカルド(RB):予選15番手/決勝12位
=評価 6/10:予選は期待外れの結果に終わったが、レースではチームメイトより良い戦略で走り、ポイント獲得に近付いた。
角田裕毅(RB):予選12番手/決勝17位
=評価 6/10:予選で良い仕事をしたものの、決勝では、ソフトタイヤスタートのレースがうまくいかず、トップ10に入るチャンスをつかめなかった。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):予選17番手/決勝19位
=評価 6/10:FP1でマシンをロバート・シュワルツマンに託したため、予選前にまともに走れたプラクティスは1回しかなかった。それにもかかわらず、チームメイトよりはるかに速く、レースのファーストスティントも素晴らしかった。ただ、マシンに他のドライバーたちと戦えるだけのスピードがなかった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選13番手/決勝11位
=評価 5/10:今回のプラクティスの間に、今季それまで全体よりも多くのコースオフを喫していたが、レースではうまくリカバリーして11位を獲得した。
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選8番手/決勝13位
=評価 5/10:予選Q3の前まではアロンソより速さがあるように見えたが、その後、失速。レースでも全く活躍しなかった。
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選16番手/決勝15位
=評価 5/10:週末を通してガスリーに全く太刀打ちできず、自分のシャシーに問題があるのではないかとすら考えていた。
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選14番手/決勝18位
=評価 4/10:予選でまずまずの結果を出した後、決勝ではペースが良くなく、使い古したタイヤを使って、物議を醸すディフェンス走行を行った。
周冠宇(キック・ザウバー):予選18番手/決勝20位
=評価 3/10:週末を通して苦戦し、チームメイトと同じレベルに立つことができなかった。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選出走せず/決勝16位
=評価 2/10:再び大クラッシュを喫し、ついにF1シートを失った。2023年アメリカGPでコントロールされた良いレースをして1ポイントを獲得。それがここまでのキャリアでの唯一の入賞となった。