2024.08.22

タイのF1招致計画が保留か。ドメニカリCEOと交流の元首相解職が影響も、新首相は路線継続の方向


セター・タウィシン元首相とステファノ・ドメニカリ(F1 CEO)
Other Photo

 2027年初頭にタイでグランプリを開催する計画は、F1のサマーブレイクの間に『微笑みの国』が新たな政治危機に見舞われたため、現在保留になっている。

 先週水曜日のタイの憲法裁判所の判決を受け、セター・タウィシン首相は、その役割を放棄することを余儀なくされた。その2日後、クーデターで退陣するまで2001年から2006年まで国を率いたタクシン・シナワットの次女で、37歳のペートンタン・シナワットが後任の首相となった。

 実業家から政治家に転身したタウィシン前首相は、バンコクでF1ストリートレースを開催する計画の立役者であり、F1開催を、いまだに新型コロナウイルスの影響を受けているタイの観光業界を支援するひとつの方法だと考えていた。

 近年のタイにおける旅行者数は、2019年末と比べて30%近く減少している。タウィシンはグランプリの開催を、国への訪問者数を増やすための迅速で比較的安価な方法と見なしていたため、大体においてF1のステファノ・ドメニカリCEOと契約を結ぶために大きな努力を払った。

 まずタイ政府がドメニカリとの話し合いを初め、その後タウィシンとドメニカリが今年の春に数回ビデオ会議を行ったという。

 それは対面での会談に備えた準備であり、1回目の会談はバンコクで、2回目はエミリア・ロマーニャGP開催期間中のイモラで行われた。タウィシンは、将来の契約についてドメニカリと握手を交わした数時間後にグリッドを努めて歩き回り、できるだけ多くのテレビ局へ向けて彼の計画について話をした。

タイのF1招致計画が保留か。ドメニカリCEOと交流の元首相解職が影響も、新首相は路線継続の方向
セター・タウィシン元首相とステファノ・ドメニカリ(F1 CEO)

 タウィシンが権力の座から去り、新しい政府はまだ就任宣誓を行っていないため、二者の交渉は振り出しに戻るだろうが、だからといって取引が完全に終わったわけではない。

 新首相のペートンタンは、彼女の父親が始め、後に叔母のインラックが再開した政策に従う行政を進める可能性が高い。インラックも2011年から2014年にかけて首相を務めたが、軍事クーデターにより追放されている。

 そのため彼女は、これまでタウィシンが中断した取引を引き継ぎ、石油大手PTTのような一部の国営企業だけでなく、プロジェクトの背後で資金を投入していたと言われるレッドブルのような民間企業についても引き続き後押しする可能性がある。

 それでもなお、権力の移行には時間がかかり、この種の交渉の勢いが止まってしまうため、F1がカレンダーに2番目の東南アジアでのレースを追加する計画は1年または2年遅れる可能性があり、プロジェクトが別の場所に移ることもあり得るだろう。

 地元の情報筋によると、その理由としてラチャダムノン通りの提案されたエリアでストリートサーキットを設営するにあたっては非常に大きな障害があり、グランプリウイーク中に市内でもっとも収益性の高い史跡のいくつかを閉鎖せざるを得なくなることがあるという。

タイのF1招致計画が保留か。ドメニカリCEOと交流の元首相解職が影響も、新首相は路線継続の方向
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表と会話するセター・タウィシン元首相



(GrandPrix.com
Translation: AKARAG)

最新ニュース一覧

2024-09-12更新
2024-09-11更新

最新PHOTO一覧






|TOP|NEWS|