2024.07.27

【F1第14戦展望】決勝はノリスとピアストリの一騎打ちか。マクラーレン勢の好機と不安要素


2024年F1第14戦ベルギーGP ランド・ノリス(マクラーレン)
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 2024年F1第14戦ベルギーGPの走り始めとなった初日、フリー走行1回目(FP1)ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に0.531秒という大差をつけてトップに立った。

 しかし、FP2ではランド・ノリス(マクラーレン)が最速。ピアストリが0.215秒遅れの2番手、フェルスタッペンが0.217秒遅れの3番手で続き、ふたりの差はわずか0.002秒だった。

 FP2で1分42秒台前半のタイムを叩き出したのはこの3人だけであり、後述するロングランペースを加味しても、このベルギーGPの戦いは『マクラーレン勢VSフェルスタッペン』に絞られたという見方ができるかもしれない。フェラーリ、メルセデスは一発の速さもロングランペースも、予想以上に上位3台に引き離されている印象であり、セルジオ・ペレス(レッドブル)に至ってはフェルスタッペンから1.027秒も遅かった。

 ただし今週末のフェルスタッペンは、5基目のICE投入による10グリッド降格という大きなハンデを抱えている。たとえ予選でポールポジションを獲得したとしても、11番グリッドからのスタートとなる。フェルスタッペンは2022年のベルギーGPで、14番グリッドから優勝を果たしており驚異的な追い上げを見せる可能性もゼロではない。ただし、今のレッドブルとフェルスタッペンに、2年前にあった他を寄せ付けない圧倒的な強さはない。

2024年F1第14戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1第14戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ただ、フェルスタッペンの10グリッド降格でも、マクラーレン勢が圧倒的有利かと言えば、そうも言い切れない。一方のマクラーレンも『予選での雨』と『晴れ予報の決勝日はかなり暑くなりそうだ』というふたつの不安要素を抱えている。

 初日に見せたソフトタイヤでの一発の速さではマクラーレンのふたりがフェルスタッペンを凌いでいた。ただ、雨の予選でも果たしてマクラーレンの一発の速さが通用するのかは未知数だ。さらに決勝レースを見据えたロングランでも、彼らは確かにフェルスタッペンより安定して速かったが、雨が降った後のグリーン(最もラバーが乗っていない状態)な路面で、なおかつ路面温度が40度を超えるようなコンディションだと話は変わってくるだろう。

 ただし、ここで明暗を分けそうなのが、フェルスタッペンとマクラーレン勢のセッティングの違いだ。

 3台が自己ベストを出した際の最高速を比較すると、フェルスタッペンが338km/hなのに対し、ピアストリは334km/hであり、4km/hもの差があった。(ノリスはフェルスタッペンとほぼ同じ337km/hだったが、低中速コーナーの集中するセクター2だけでふたりに0.15秒前後の差をつけて最速だったことから、この最高速は先行車のスリップストリームに付いたためと思われる)。

 フェルスタッペンにしてみればダウンフォースをある程度削り、最高速の速さを活かして、1台ずつ抜いていく戦略で行かざるを得ない。さらに、決勝レースが土曜の雨の影響で路面に十分にラバーが乗らず、なおかつ路面温度が高いコンディションになった場合、しっかりダウンフォースをつけたマクラーレン2台の方が、有利にレースを進められる状況となる。

 となると前戦ハンガリーGPに続いて、今回のベルギーGPもノリスとピアストリの一騎打ちとなる可能性は決して少なくはない。その場合、ともにキャリア2勝目を目指すふたりが、どのような戦いを繰り広げるのかが、この週末の最大の注目ポイントになるかもしれない。ベルギーGPは予選、決勝ともにかなり面白い展開が期待できそうだ。

2024年F1第14戦ベルギーGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2024年F1第14戦ベルギーGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2024年F1第14戦ベルギーGP ランド・ノリスとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2024年F1第14戦ベルギーGP ランド・ノリスとオスカー・ピアストリ(マクラーレン)



(柴田久仁夫)

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