【角田裕毅F1第13戦展望】「自分の体よりクルマが心配」と落胆。僚友はクラッシュ時にマシンが浮き上がる現象を懸念
F1第13戦ハンガリーGPの予選Q3の1回目のアタックを中古タイヤで行った角田裕毅(RB)は、ピットイン。新品タイヤに履き替えて、最後のアタックに出て行った。しかし、ちょうどそのころ、ハンガロリンクに再び雨が降り出した。
セクター1を区間自己ベストで通過して行った角田は、右コーナーのターン5にスピードに乗った状態で進入。出口で外側の縁石に乗った直後に、コースをはみ出し、そのままバリアにクラッシュ、即座に赤旗が出された。
この日の予選は角田のほかにもクラッシュし、赤旗を出したドライバーがいた。レッドブルのセルジオ・ペレスがQ1でターン8でスピンし、クラッシュ。ただし、このクラッシュが濡れた縁石に乗って、リヤを失ってスピンしたクラッシュだったのに対して、角田のクラッシュはターン5の中間にあるバンプに乗った瞬間に、ダウンフォースがストールして、コースをはみ出した後、ランオフエリアで飛び跳ねてコントロールを失ったという、ペレスとはやや状況が異なるクラッシュだった。
このクラッシュを映像で見たチームメイトのダニエル・リカルドは、ランオフエリアの形状に懸念を示した。というのも、今年ハンガロリンクはいくつかのコース改修を行っており、ターン5の外側のランオフエリアに幅2.5mの人工の芝生が敷かれたのだが、これが縁石よりも高くなっていたため、コースをはみ出した角田のマシンがまるで滑走路を飛び立つ飛行機のように宙に浮いてしまったからだ。
「ユウキの映像を見て、ゾッとした。今後はなんらかの改良が必要となるだろう」(リカルド)
バリアに激しくクラッシュした角田は、メディカルカーに乗せられて、サーキット内のメディカルセンターへ向かった。
心配して駆けつけたローラン・メキース代表らチームスタッフが待ち構えるなか、メディカルセンターから出てきた角田は、特に目立ったケガはなく、しっかりとした足取りでチームスタッフに歩み寄って、状況を説明していた。
大事に至らなくてよかったという様子で、角田の健康を気遣うメキース代表の横で、角田は大きくうなだれていた。
角田は言う。
「自分の体よりもクルマのほうが心配です。とても残念。がっかりしています。いまはクルマが修復されることを願っています。チームには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
いまはメカニックたちがマシンを修復することを信じて、角田には体だけでなく心もしっかりと整えて、日曜日のレースに備えてほしい。