2024.07.01

レッドブル&HRC密着:ブレーキング中の移動を否定するフェルスタッペン。ノリスの仕掛けは「爆撃」と表現


2024年F1第11戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ランド・ノリス(マクラーレン)
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 2024年F1第11戦オーストリアGPの優勝を賭けた激戦の幕は、51周目に上がった。

 ポールポジションからスタートし、終始レースをリードしていたマックス・フェルスタッペンは、2番手ランド・ノリス(マクラーレン)とのギャップおよそ7秒で残り20周を迎え、ピットインした。

 ところが、ここで左リヤタイヤが外れないというトラブルが発生。静止時間6.5秒でピットアウトしてしまう。

 フェルスタッペンは23周目に1回目のピットストップを行い、このときは2.7秒だったので、2倍以上の作業時間を費やしてしまった。これに対し、同じ周にピットインしたノリスをマクラーレンのピットクルーは2.9秒で送り出した。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1第11戦オーストリアGP 左リヤタイヤの交換に手間取るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ランド・ノリス(マクラーレン)
2024年F1第11戦オーストリアGP 同じ周にピットインしたランド・ノリス(マクラーレン)の横を通り過ぎるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。直後にノリスもピットアウト

 これで約7秒あったふたりのギャップは一気に縮まり、52周目には1.7秒となった。

 序幕を終えたふたりの戦いは、ここから第2幕が上がる。10周以上に渡り、テール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げた。59周目には、3コーナーでノリスがフェルスタッペンのインを差すも、止まりきれずにオーバーラン。一時はノリスがトップに立つが、直後にフェルスタッペンが抜き返して、ふたりの戦いはまだ続く。

 63周目に、ふたたびノリスがフェルスタッペンのインを差すが、フェルスタッペンはノリスに押し出されるかたちでコース外からノリスを抜き返し、トップの座を死守した。

 迎えた64周目。最大のオーバーテイクポイントである3コーナーでインからフェルスタッペンを抜けずにいたノリスは、今度はアウト側からオーバーテイクを試みる。

 ところが、ブレーキングで2台が接触。両者タイヤにダメージを負ってピットイン。フェルスタッペンはレースに復帰するが順位を大きく落とし、ノリスはピットイン後にリタイア。激戦の幕は、悲劇というかたちで幕を閉じた。

ランド・ノリス(マクラーレン)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1第11戦オーストリアGP ランド・ノリス(マクラーレン)との接触でダメージを負ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
ランド・ノリス(マクラーレン)
2024年F1第11戦オーストリアGP マシンから降りるランド・ノリス(マクラーレン)

 レーススチュワード(審査委員会)は、ブレーキングエリアでフェルスタッペンが左側に移動したことが接触のおもな原因とし、事故の責任はフェルスタッペンにあると判断。10秒のタイム加算ペナルティと2点のペナルティポイント(累積4点)を科した。

 レース直後、フェルスタッペンはメディアにこう語った。

「何が原因だったのかを正確に把握するためには、映像を見直してみないとわからないけど、僕はステアリングを動かしながらブレーキを踏んではいない。外からは僕がブレーキング中に動いたと簡単に言うけど、何をしているのか一番よくわかっているのは、クルマに乗っている本人だ」

 さらに、ノリスの再三の仕掛けを「爆撃のようだった」と表現し、こう続けた。

「こういった問題を引き起こすコーナーの形状にも原因はあると思う。僕も逆の立場で経験したことがある。もちろん接触してしまったことは残念に思っている。単純にこんなことは起きてほしくない。とにかく、映像を見返してみるつもりだ」

 これに対して、ノリスはこう主張した。

「もし彼が、自分は何も悪くないと言うのなら、僕は彼をもう尊敬しなくなるだろう。もし彼が少し無謀だったことを認めるなら、これからも彼を尊敬する」

 ふたりの友情は保たれるかと尋ねられたレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう語った。

「彼らはハードレーサーだが、そこには尊敬の念がある。激しい競争をしていると、必然的に友情はプレッシャーにさらされる。今日のレースはまさにそうだった」

 フェルスタッペンにとって、ノリスは友人ではなく、真のライバルとなったようだ。ふたりの激闘ドラマは、これからも続くだろう。

ランド・ノリス(マクラーレン)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1第11戦オーストリアGP ランド・ノリス(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のバトル



(Masahiro Owari)

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