フェラーリF1のバスール代表、ライバルに対する遅れを認めるも深刻視せず「今は誰もが改善している」
スペインGP週末のフェラーリのパフォーマンスについて、ティフォシ(フェラーリファンの呼称)とイタリアの専門メディアの間では警鐘が鳴らされた。シャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、それぞれ5番グリッドと6番グリッドからレースをスタートし、同じ順位でフィニッシュしたからだ。
これにより、カナダGP以降に期待されたような力強い挽回と、モントリオールでの惨状があのレース限りのまぐれであったはず、というティフォシの期待は打ち砕かれた。スペインでのSF-24は4番目に速いマシンにすぎず、マクラーレンとレッドブルから大きく後れをとったうえに、メルセデスと比べてもわずかに遅かったのだ。
チーム代表のフレデリック・バスールは、「0.2〜0.3秒差のチームが4つある」と認めたが、次のように続ける。
「直近4レースで4つの異なるチームがポールポジションを獲得したため、戦況が大きく変化していることは明らかだ」
チームはスペインGPに、広範囲にわたるアップデートリストを持ち込んでいたが、バスールは「マシンに大きな変更は加えなかった」と語る。
「つまり、今回のマシンパフォーマンスはコースレイアウト、タイヤコンパウンド、そして温度に左右されたものだった。タイヤが適正範囲に入っていれば、最大で0.1〜0.2秒前後の差になるはずだ」
シーズン序盤は比較的好調だったフェラーリが、順位を落とし始めたと感じているかと質問されたバスールは、次のように答えた。
「中国GPあたりからは、0.2〜0.3秒差の範囲に4チームが入っている。我々はコースであらわれるこの差にある程度満足もしているが、それ以前にいくつか覚えておかなければならないことがある」
「まず、今は誰もが改善しているということがひとつ。つまり、何かを持ち込んだからといって大きく前に出られるわけではないということだ。ということは、何も持ちこまなければ、それだけで大きく後退する」
「ふたつめは、今ではどこのチームも2、3レースごとに新たなパーツを持ち込んでいる。我々が新しいパーツとして何を持ち込んでいるかというリストが明らかになっていることもあるが、それは空力パーツのみだ。そして我々が開発しているのは、空力だけではないということを忘れないでほしい」
赤い跳ね馬がスペインで第4の勢力に過ぎなかった理由については、「ここでもっとも重要なことは、タイヤを非常にうまく使い、酷使しすぎないことだ」とし、バスールは慎重な口調で「詳細に踏み込んで情報を提供したくはない」と前置きしつつ次のように主張する。
「ポイントはラップ全体のすべてのコーナーで、タイヤのポテンシャルを維持することだ。おそらく予選では何かが欠けていたのだろう。予選での我々は、約0.3秒の遅れだった。バルセロナには全部で14のコーナーがあるので、1コーナーごとに0.1秒を失っているわけではないはずだ」
「我々は、2カ所の異なるコーナーでそれぞれ0.1秒を少し超えるタイムを失っていた。それ以外の箇所では、ランド(・ノリス)のタイムとほぼ同じであったので、失ったのはたった2カ所のコーナーだけだったはずだと考えている」
また、マクラーレンがフェラーリよりもはるかに迅速に開発を行ってきたと考えているか質問されると、「彼らは、1年前のシルバーストンで我々より約10秒ほど早くフィニッシュしたチームだ。だから、彼らの開発速度が我々よりもはるかに速いのかどうかは分からないね」とその考えを否定し、その場を後にした。