2023.03.30

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:2位でも不機嫌さを隠さず「まずは信頼性を確保する必要がある」


(c)XPB Images
 第2戦サウジアラビアGPの初日は好走していたマックス・フェルスタッペン。しかし、予選のトラブルによりグリッド後方からの追い上げとなってしまった。スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがフェルスタッペンの週末を振り返る。

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 物事の見方は立場によって変わってくる。F1ドライバーの多くは、2位入賞を果たせば心から満足し、満面の笑みでトロフィーを受け取るだろう。だが、現世界王者のマックス・フェルスタッペンにとって、2位は「敗者の最上位」でしかない。

 フェルスタッペンは見るからに不満そうだった。予選中にドライブシャフトの破損に見舞われ、15番手グリッドからのスタートを強いられながら、サウジアラビアGP決勝を2位でフィニッシュするという、見事なリカバリーを演じたにもかかわらずだ。
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 F1で通算79回目のポディウムに上がった彼が、ひどく不機嫌だったのにはふたつの理由があるという。「まず第一に、いくつかのトラブルを克服しなければならなかった。もちろん、フィールドで最速のクルマを手にしているのはいいことだ。でも、いつもリタイアの可能性に脅かされているとしたら、どんなに速くても意味がないんじゃないかな」

「結果だけを見れば、何の問題もないように思える。バーレーンでワンツー、ジェッダでもワンツーだからね。だけど、より細かい部分に目を向けると、明らかになることがある。ウインターテストを好調に過ごしながら、バーレーンGPの週末にはいいバランスを取り戻すのにひどく苦労した。そして、あの週末にも駆動系の小さなトラブルがあった」

「ジェッダでは、文句なしのフリープラクティスセッションを送った後に、ドライブシャフトの破損が起きた。そのおかげで、僕はフィールドの後方からの追い上げを強いられたし、高速セクションで異常なバイブレーションが発生していたので、できるだけクルマに負担をかけないようにドライブしていた」

 もうひとつの理由は、端的に言えば勝てなかったことだ。「僕は2位でフィニッシュするために、ここにいるんじゃない。最高の状態でグランプリの週末を迎えられるように、ファクトリーでは大変な努力をしている。それでも現場ではこういうトラブルがあって、下位から挽回するためのドライブを余儀なくされた」

「後方のグリッドから上位を目指して、コース上で戦うこと自体は全然構わない。だけど、選手権を勝ち取りたいのなら、まずは信頼性を確保する必要がある。大事なのはスピードだけではない。レースを完走しなければ話にならないんだ。その点で改善の余地があるし、とにかくクリーンな週末を過ごせるようにしないとね」

「実際のところ、あのセーフティカーピリオドがあってもなくても、現実的に手が届くのは2位までだったと思う。スタート直後のフィールドが密集している段階では、前のクルマについて行くのがものすごく難しかった上に、強い追い風の影響もあって、どのクルマも絶えず挙動を乱していた。それでも、最初の数周を終えて少しレースが落ち着いてからは、いいリズムを取り戻すことができた。そして、そこからひとつずつ順位を上げていったんだ」

「ペースは良かったし、セーフティカーが出動してフィールドがまとまったことにも、多少は助けられた。だけど、そこからチェコ(ペレス)との差を詰めていこうとした時に、あのバイブレーションが始まったんだ。チームからは『心配しなくていい』と言われたけど、明らかに何かがおかしい感じだった。その時点で、もう2位で満足する方が賢明だと思ったよ」

 そう言いながらも、マックスは最後に少しだけプッシュした。ファイナルラップに最速レースラップを記録してみせたのだ。それもリーダーのペレスがリアクションできないように、抜け目なく最後の周での更新を狙ったのである。こうして手にした追加の1ポイントによって、フェルスタッペンは選手権リーダーとしてオーストラリアでの第3戦に臨むことになる。

(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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