2020.12.30

ホンダF1甘口コラム総集編(2):パワーユニットと車体のマッチングが向上。2021年へ向けて手応え


(c)RedBull
 ホンダがパワーユニットを供給しているレッドブルの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レッドブル・ホンダの走りを批評します。今回は2020年シーズンの総括として甘口の視点でジャッジ。

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 2020年のホンダは、成績の面でも2019年に引けを取らない活躍を披露した。

 まず予選ではトップ10に4台入ったのは2019年は2回だったが、2020年は3回となった。2019年の2回はモナコGP予選(マックス・フェルスタッペン3番手、ピエール・ガスリー5番手、ダニール・クビアト8番手、アレクサンダー・アルボン10番手)とメキシコGP予選(フェルスタッペン1番手(決勝4番手スタート)、アルボン5番手、クビアト9番手、ガスリー10番手)。

 モナコGPは全開率が低く、パワーユニット(PU/エンジン)の性能よりも車体性能とドライバーの技術力が大きくモノをいうコース。メキシコGPの舞台であるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは標高が2000m以上の高地にあり、エンジン(ICE)そのものの馬力が落ちる。

 そのため、ターボの性能が大きく影響するのだが、この部分においてホンダは航空機エンジン開発部門の知見と技術を導入した新型パワーユニット(スペック3)を2019年から投入していた。メキシコGPの快走は、そのスペック3のターボ性能に因るところが大きく、平地でのICEのパワーにおいては、2019年はまだ課題が残っていた。

 それが2020年は平地でのサーキットでも、王者メルセデスに接近した。2020年の予選でホンダ勢が4台そろってトップ10入ったのは、エミリア・ロマーニャGP予選(フェルスタッペン3番手、アルボン6番手、ガスリー4番手、クビアト8番手)、バーレーンGP予選(フェルスタッペン3番手、アルボン4番手、ガスリー8番手、クビアト10番手)、そしてアブダビGP予選(フェルスタッペン1番手、アルボン5番手、クビアト7番手、ガスリー10番手)だ。

 イモラのホームストレートの海抜は41m。バーレーン・インターナショナル・サーキットのホームストレートの海抜は24.7m。そして、アブダビGPの舞台であるヤス・マリーナ・サーキットは海抜は0mだ。

 さらにイモラは言わずと知れたパワーサーキットであり、バーレーン・インターナショナル・サーキットは4本のストレートを低速コーナーでつないだレイアウトで、エンジンパワーがものを言う。ヤス・マリーナ・サーキットには1233mのロングストレートのほかにもう1本長いストレートがあり、過去6年間メルセデス製パワーユニットがポールポジションを取り続けてきたことからもわかるように、エンジンの馬力が問われるサーキットだ。

 この3つのサーキットでホンダが予選でトップ10に4台進出したことは、性能面でも向上していることをうかがわせる。しかも、アブダビGPでは6年間続いていたメルセデスからポールポジションを奪った。

(c)RedBull

 レースでのホンダ勢4台そろっての入賞は、2019年と同じ1回にとどまった。しかし、2019年は第6戦モナコGP決勝(フェルスタッペン4位、ガスリー5位、クビアト7位、アルボン8位)だったのに対して、2020年は第10戦ロシアGP決勝(フェルスタッペン2位、クビアト8位、ガスリー9位、アルボン10位)。ロシアGPが行われるソチ・オートドロームも最終コーナーから最初のブレーキングポイントとなるターン2までは約1kmの全開区間があり、エンジンパワーがラップタイムに大きく影響する。

 つまり、2020年のホンダのパワーユニットは2019年に比べてICEの性能が向上していたことがわかる。

 もちろん、パワーユニットの性能には車体の空力性能に大きく影響しており、パワーユニットだけを切り取って単体の性能を評価することは難しい。したがって、ここで紹介した成績はあくまで車体も含めたパッケージとしての評価となる。しかし、そのパッケージを構成する重要な一部がパワーユニットであることもまた事実。2020年のホンダはレッドブルのRB16とアルファタウリのAT01とのマッチングも良かった。

 最終戦アブダビGPをポール・トゥ・ウィンで締めくくったフェルスタッペンは、2021年へ向けて手応えをつかんでシーズンを終了した。

「完璧な形でシーズンを締めくくることができた。チームの全員とホンダが1年間、一生懸命仕事してくれたおかげだ。この調子で来シーズンをスタートさせたい。タイトルを狙うには、開幕からこれくらいの走りができなくてはならないから」(フェルスタッペン)

 新型コロナの影響で、今年のオフシーズンはいつもより短い。最終戦のホンダの勢いはいつもより衰えることなく、翌シーズンの開幕戦を迎えることとなる。

(Masahiro Owari)

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