タイトル争いをするべく準備を継続。F1最終年は「何としてでもやりきりたい」/ホンダF1山本MDインタビュー(後編)
2020年シーズン、ホンダはレッドブルとアルファタウリとともに3勝を挙げた。特にこれまでメルセデスが圧倒的に優位だったアブダビで勝利を飾ったことで、2021年に向けて良い1年の締めくくりになったとホンダF1の山本雅史マネージングディレクターは考えている。
その2021年は、ホンダにとってF1最終年。短いオフの間に、メルセデスとの差を詰めようと懸命な作業が進められているだろうが、山本MDは来季に向け「なんとしてでもやりきりたい」と語った。
────────────────────
──イギリスで新型コロナウイルスのワクチンの接種が開始されましたが、12月に入って、イギリスでは、ロンドンなど南東部で感染が再び拡大しています。また世界を見ても、まだまだ新型コロナが収束している状況にはありません。2021年のF1はどうなっていると予想していますか。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):あくまで現時点での個人的な感想ですが、2021年シーズンも2020年と同じように、F1のパドックはソーシャルバブルを形成して動いていくと思います。したがって、私も2020年と同様にイギリスを拠点にしてレースに帯同していこうと考えています。
また、これもあくまで個人的な意見として聞いてほしいのですが、FIAがワクチン接種を義務付けないことを願っています。私の知り合いの何人かの医師からも「こんなに早くワクチンができるはずがないから、リスクを考えたほうがいい」と言われているからです。
──開幕戦は再びオーストラリアで予定されていますが、2021年は大丈夫ですかね?
山本MD:それは、これからの数カ月次第でしょう。ただ通常であれば、12月に翌年の移動の段取りをいろいろと煮詰めていくのですが、12月に新型コロナが再び感染拡大しているために、それができない。早くても年明けから動くことになるでしょう。
──10月2日には、ホンダが2021年限りでF1参戦を終了するという発表もありました。
山本MD:直後のアイフェルGPは今まで経験したことがないような状況のなかでレースを戦いました。そんななか、レッドブルもアルファタウリも非常に友好的な対応してくれ、逆にそれ以降は結束力が強くなっていったと思っています。
──2022年以降にレッドブルとアルファタウリが搭載するパワーユニットについての話し合いが12月21日時点でまだ結論として何も発表されていません。
山本MD:FIAの提出期限が1月1日なので、通常であれば年内になんらかの合意がなされなければならないのですが、それはレギュレーションとの兼ね合いもあるので、なんとも言えない。もし、1月1日に間に合わせるのであれば、12月中にレギュレーションも含めていろんなことが決まっていかなければきついでしょう。ホンダとしては、ホンダができる範囲のなかで、レッドブルとアルファタウリのリクエストにできるだけ応えたいという気持ちに変わりはありません。
──ホンダにとってF1最終年となる2021年に、ホンダは新しいパワーユニットを投入することを発表しています。体制面で、何か変更はありますか。
山本MD:体制面では、大きな変更はありません。一部のエンジニアは入れ替えも考えているようですが、それ以外の基本的な体制は2020年と同じです。
──最終戦での勝利は2021年に向けて励みになりますね。
山本MD:アブダビGPでは2014年に開始した現行のパワーユニットレギュレーション下で、常にメルセデス勢がポールポジションを獲得し、そして優勝していましたが、そこでマックス(・フェルスタッペン)がポール・トゥ・ウインを飾ったということは、非常に意義のある結果となりました。ホンダも2021年に繋がるようなパワーユニットの使い方をして、2021年に向けて、いい締めくくりができました。
ただ、シーズンを通して振り返れば、非常に厳しいシーズンだったことは確かで、2020年をしっかりと分析して、来年のテストに向けて準備をしたいと思います。ホンダとして最後のシーズンとなる2021年は、なんとしてでもやりきりたいと思ってます。
──2021年こそ、期待してもいいでしょうか。
山本MD:今年のオフシーズンはいつもよりも短く、2021年の開幕までの時間があまりありません。我々は最終戦で勝ちましたが、メルセデスだって、このままでいるわけがない。2020年をしっかりと分析して、来年のテストに向けて準備をしなければなりません。
2021年はホンダにとってF1最終年となります。2021年こそ、チャンピオンシップ争いをするべく、準備を進めなければならないし、我々もその(チャンピオンシップ争いをする)方向で戦いたいと思っています。
最後にこのような大変な一年のなか、ご声援いただきましたファンの皆様に御礼するとともに、2021年も引き続きよろしくお願いします。