2015.12.30

記憶に残る無線セレクション2015前編「イヤだよ」


【第11戦ベルギーGP】ロマン・グロージャン → 「最高だ、みんなありがとう(涙)」

 ロータス・チームは財政難で訴訟を起こされ、機材の差し押さえや夏休み明けの現地入りすら危ぶまれる状況を乗り切り、なんとか参戦を果たした。それでもグロージャンは、なんと予選4位を獲得。交換するパーツがないまま戦っているため、ギヤボックス交換で5グリッド降格を科せられてたにもかかわらず、果敢な追い上げと巧みな戦略で3位に入った。ERSの回生を集中させる「ストラット12」を使える周回は限られており、わずかなチャンスでオーバーテイクを決めたグロージャン。ロータスからは「君のキャリアで最高のレースのひとつだったよ」と賛辞が送られた。グロージャンは涙ながらにチームの健闘を称え、2013年以来の表彰台に沸くスタッフたちの目にも涙が見えた。

【第12戦イタリアGP】ルイス・ハミルトン ← 「トークモードをゼロにしてくれ」

 レース終盤になって、レースエンジニアのボニントンから「ストラット3、ギャップを広げる。ハンマータイムだ。理由は聞かないで、とにかくプッシュしてくれ」との指示。ハミルトンは「これ以上そんなにペースは上げられない。僕はどうしたらいいんだ?」と困惑、異様な空気が漂った。ペースアップの指示があったのは、FIAによるスタート直前のタイヤ内圧測定で規定違反が疑われたためだった。チェッカー後に「あの数周はクールじゃなかったよ」と文句を言い始めるハミルトンに対して、ボニントンは「黙れ」という意味で「トークモード・ゼロ」を指示した。内圧問題はレース後の審議の結果、タイヤウォーマーの運用ミスもあったため不問に付されたが、疑惑が残る裁定となった。ベルギーGPでのタイヤバースト続発を受けて強化された最低内圧とキャンバー、ウォーマー温度規定は、このあと監視が強化されていくことになる。

「記憶に残る無線セレクション2015」後編に続く

(米家峰起/Mineoki Yoneya)
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