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王者フェルスタッペンの戦い：オースティンでのアップデートを待ち望む「状況はまた急速に変わるかもしれない」

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　コンストラクターズ選手権で首位の座をマクラーレンに明け渡してしまったレッドブル。チームは残りの戦いでマックス・フェルスタッペンがチャンピオンを獲得するために問題点の洗い出しに集中している。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがアゼルバイジャンGPとシンガポールGPの週末を語る。
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　マックス・フェルスタッペンは明言している。「もはや僕らのクルマが最速ではないという事実を認めないといけない。実際、しばらく前からこんな状況なんだ」

　バクーの市街地レースを終えた段階で、レッドブル・レーシングは2022年マイアミGP以来、55戦にわたって君臨したコンストラクターズ選手権首位の座から転落した。フェルスタッペンはこのレースを5位でフィニッシュするのがやっとだった。

　そして、新たな選手権リーダーのマクラーレンは、続くシンガポールでレッドブルとの得点差をさらに広げた。レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、率直な気持ちを明かしている。「残念なことだが、この（コンストラクターズ）選手権は防衛できそうにない。けれども、マックスのドライバーズ選手権タイトルを死守するべく、全力を尽くして戦うつもりだ」
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　だが、バクーの時点で、すでにフェルスタッペンはこう語っていた。「どうしてチームが魔法のような手腕を失っていたのか、その理由がわかり始めてきた」。マルコの言葉を借りて、もう少し詳しく説明するなら、「シーズンが開幕したばかりの頃は、バランスが良くて速いクルマだった。ところが、開発を進めるにつれて、文句なしだったカーバランスが失われてしまった。そして、クルマのワーキングウインドウが極度に狭くなり、それを探し当てるのがどんどん難しくなっていた」のだ。

　さらにマックスはこう付け加えた。「シンガポールもかなり厳しい戦いになるだろう。もうすぐ新しい開発部品が投入される予定だけど、それはオースティンのアメリカGPまで待たなければならないんだ」

　フェルスタッペンはシンガポールGPではまだ一度も勝ったことがない。今回も優勝はできなかったが、それまでの不調からは立ち直る兆しを見せ、選手権争いの最大のライバル、ランド・ノリスに続いて2位でレースを終えた。マックスは言う。「以前のような競争力を取り戻すために、あらゆる手を尽くしている。状況はまた急速に変わるかもしれない」

　また、マルコは「気温、路面温度、タイヤコンパウンドに関するスイートスポットがとても狭いことが多い。それらのほんのわずかな変化によって、何の問題もなかったクルマが急にひどい代物になってしまったりする」と述べた。

　フェルスタッペンは、レース後にこう語っている。「前半はちょっと厳しかったけど、後半はそれよりもいい感じだった」

「確かなことがひとつある。いつまでもこんなふうに負け続けるわけにはいかないということだ。実際のところ、シンガポールではひどく苦戦するだろうと思っていたから、2位というのは満足すべき結果とも言える」

　マルコは彼らが直面している問題のひとつを明らかにした。「シミュレーション、風洞、サーキットから得たデータのコリレーションに問題がある」。チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、これを「言ってみれば、腕時計が3つあって、それぞれが微妙に違う時刻を指している。そんなとき、どれを信じればいいのかというような話」と表現している。

　そして、マルコは言う。「開発のどこで道を誤ったのかを解明するために、昼夜を問わず努力を続けているところだ。いったん旧仕様のフロアに戻したのも、それ以降に導入した新型パーツのうち、フィーリングは良くてもクルマのバランスを狂わせることになったのはどれかを調べるためだった」

　マックスとしては、鈴鹿と上海でドライブしたRB20が最高だったという。ならば、その当時の仕様に戻すことはできないのだろうか。「バランスの良さは取り戻せるかもしれない。だけど、それからライバルたちのクルマの開発は驚くべきペースで進んできたからね。僕のクルマが乗りやすくなったとしても、あの頃のレベルに戻ったのでは勝負にならないと思うよ」

(c)XPB Images
(c)XPB Images
（Mathias Brunner／Translation：Kenji Mizugaki）

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