可変圧縮比論争を静観するアストンマーティン&ホンダも新技術の導入を示唆「知恵を絞ることもレースの一部」/F1 Topic
1月20日に東京で行われた『2026 Honda × Aston Martin Aramco F1 Team ニューパートナーシップ始動発表会』では、いままで見えなかったいくつかのことにスポットが当てられた。
まず、昨年末に始まった内燃機関(ICE)の「可変圧縮比」論争だ。これはドイツの『Motorsport Magazin』が報じたもので、メルセデスとフォードRBPTのICEは、エンジン内部のコンポーネント、ピストンが特定の温度になると膨張し、結果として圧縮比が上昇し、レギュレーションで規定されている1:16を超え、馬力が向上するというものだ。

アストンマーティンで現在チーフストラテジーオフィサーを務めるアンディ・コーウェルは、かつてメルセデスのパワーユニット(PU)部門で責任者として、メルセデス黄金時代に大きく貢献した人物だ。そのコーウェルは今回の騒動に関して、次のように感想を語った。
「レギュレーションが新しくなると、今回の圧縮比のようなトピックがいつも出てくる。現在のパワーユニットは熱効率でも、内燃機関の燃焼においても限界ギリギリの競争が行われており、そのなかでライバルを出し抜くにはレギュレーションの合法な範囲の限界で開発競争を行わなければならない。私の認識では、この件に関してFIAはレギュレーションの範囲内、つまり適法だと判断を下していると思う」
ホンダのパワーユニットの開発責任者である角田哲史ラージ・プロジェクト・リーダー(LPL)も、コーウェルと同様の意見だ。
「ライバルが何をやっているか、私にはわかりませんので特定の技術に関してコメントできませんが、F1はそれぞれの技術解釈の下で、自分たちがやれること、やれないことを判断し、それに対してFIAがOKかNGかを判断することになっています。そういったこと(可変圧縮比)も含めてF1の一部だと思っています」

これだけを聞くと、ホンダがメルセデスとフォードRBPTに対して後れをとっているように思うが、現時点ではまだわからない。というのも、ホンダは可変圧縮比以外にも、2026年から始まるレギュレーション下でのパワーユニットにほかにも新しい技術が盛り込まれている可能性を示唆しているからだ。
ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治HRC社長は、こう語る。
「レギュレーションの運用や解釈に関しては、この件(可変圧縮比)だけでなく、さまざまなことについて議論していますが、個々の議論についてのコメントは差し控えさせていただきます。いずれにしても我々はレギュレーションにミート(合致)する形でF1のPUをしっかりと開発していくことに変わりありません」
同席していた本田技研工業の三部敏宏社長も、こう続けた。
「レギュレーションというのは、すべてが細かく書かれているわけではないと思います。したがって、圧縮比に限らず、今後新しいレギュレーションのなかでさまざまな技術の可能性があるので、我々はパワーユニットに関して知恵を絞っていくこともレースの一部だと思います。それぞれの知恵が正しいのかそうでないのかを裁定するのがFIA。ホンダにもいろいろなアイデアがあるので、それを開発していくときにはその都度、FIAに尋ねて、OKだということを確認してから開発を進めていくことになります」
開発リーダーの角田もこう言う。
「他者に対して差をつけるため、どうやったらアドバンテージを得られるのかを常に考えるのがF1だと思いますし、我々もそうやって仕事をしています」
それがなんなのか。すでに2026年のパワーユニットに採用されているのか。それは1月下旬のスペイン・バルセロナから始まるプレシーズンテストで徐々に明らかにされていくだろう。

