F1パワーユニット性能均衡化システム『ADUO』が新たに導入も、圧縮比問題への早期効果は期待薄か
2026年F1レギュレーションに数多くの変更が導入されることで、新たなF1用語が登場する。そのなかのひとつが『ADUO』だ。これは『Additional Development Upgrade Opportunities(追加開発アップグレードの機会)』の略で、パワーユニット(PU)の開発に適用される制度である。FIAは、エンジン性能の均衡化を可能な限り迅速に達成するための手段として、この仕組みを導入した。
この新たなエンジン性能均衡化の方法により、FIAは60日ごとに、競合他社に遅れを取っているマニュファクチャラーに対して、自身の開発を加速させるための複数の措置を認めることができるようになる。その恩恵には、仕様変更、コストキャップを超える追加資金、テストベンチ稼働時間の追加などが含まれている。

2026年には、完全に新しいパワーユニットが開発されることから、信頼性が再び重要な差別化要因になると予想されている。そのためFIAは、一定の量を超えるエンジントラブルに見舞われたメーカーに対し、予算上限の調整を認めるとしている。そうしなければ、彼らが競争力を取り戻す術はないからだ。
この新たな規則上の仕組みは、シーズン序盤から多くの議論の中心になることは確実だ。すでに、メルセデス、そして程度は小さいもののレッドブル・フォードが、走行中にエンジンの圧縮比を大幅に引き上げつつ、マシン停止後にエンジンが冷却された段階――すなわちFIAのテクニカルデリゲートによるチェックが行われる時点――では、最大許容値である16:1の圧縮比に戻す方法を見つけ出したといわれている。

複数の情報筋によれば、この技術が十分に信頼性を備えたものであれば、メルセデスは1周あたり0.25秒から0.4秒ものアドバンテージを得ることになるという。これは、ライバルチームがシャシー開発だけで対抗するのは極めて困難な数値であり、そのため、1月22日に行われたとみられる会合で、マニュファクチャラーとFIAが妥協点に到達しなければ、フェラーリ、ホンダ、アウディは、できる限り早期にADUOの適用を受けることを強く求めることになるだろう。
しかし、FIAが行動を起こせるのは、シーズン開幕から2カ月後となる。つまり、メルセデスが大きなアドバンテージを持っていた場合、最初の6戦において、そのアドバンテージを享受し続ける可能性があるわけだ。さらに、他のマニュファクチャラーがADUOを利用できるようになったとしても、追加開発の成果が現れるまでには相当な時間を要する。したがって、FIAとF1が期待する接近した競争環境が実現するのは、早くとも2027年シーズン開幕時になる可能性が高いのである。
