FIAが2025年にF1フレキシブルウイングの検査を厳格化。昨シーズンのウイング論争決着を目指す
FIAが、2025年シーズン初めから、リヤウイングの屈曲について、より厳格なテストを実施すると、全F1チームに対して警告した。さらにFIAは、フロントウイングに関して追加のたわみテストを6月のスペインGPで導入することも通達した。
2024年のチャンピオン、マクラーレンは、検査にパスしながら走行中にウイングの柔軟性を活用する方法を見つけ出したことで、パフォーマンス改善を成し遂げたと考えられている。レッドブルらはマクラーレンのウイングについてFIAに説明を求め、マクラーレンはリヤウイングの修正を行った。
しかし、2024年シーズン終わりには、FIAテクニカルディレクターのニコラス・トンバジスは、当時行っているテストに満足しており、より厳格化する必要は全くないと明言していた。今回の通知は、FIAが顕著な方針転換を行ったことを示している。
12月にトンバジスは「我々はこれまで見てきたものにとても満足している」とコメントした。
「今、付け加えておきたいことは、それが満足か不満かという問題だけではなく、有意義なテストが実施できていると感じているかどうかという問題でもあるということだ」
しかしFIAは最近、チームに以下のような通知を送った。
「2024年シーズン終了後、FIAシングルシーター部門が実施したさらなる分析を受けて、2025年シーズンにおいてボディワークの柔軟性がもはや論争の的にならないようにすることに、我々は全力を尽くす」
「この取り組みの一環として、2025年シーズンの開幕から、リヤウイングのテストの範囲を拡大し、さらにスペインGPからは追加のフロントウイング・テストを導入する」
FIA関係者によると、シーズン終了後、2024年の全データを分析した結果、既存の検査が当初考えられていたほど効果的ではないことが判明したために、この決定が下されたという。2024年シーズン終盤数戦のオンボード映像を詳細に分析することにより、いくつかのチームが、義務付けられた静的たわみ検査をクリアしながら、FIAが定めた最大許容値を超えるたわみを発生させることに成功していたことが明らかになったようだ。
しかしフロントウイングについては、チームに4カ月の猶予が与えられることになった。フロントウイングはF1カーのなかで最も重要なパーツのひとつであり、その形状やたわみがマシン全体の空気の流れを決定するため、設計の見直しや使用する素材の再検討が必要になるからである。
こうして、現世代マシンの技術規則での最終シーズンに向けて、ウイングの検査が厳格化されることが決まった。これは、シーズン開幕時点でテクニカルグループが定めた制限が確実に守られるようにし、最終戦アブダビまでその制限が破られることのないようにするための対策である。