2024.12.07
【F速プレミアム】
フェルスタッペンのチャンピオン経験を活かした賢明な戦い/スペイン人ライターのF1コラム
(c)Red Bull
2024年シーズンのF1世界チャンピオンを獲得したマックス・フェルスタッペン。チャンピオンを逃したランド・ノリスとの差はどこでついたのだろうか。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがタイトル争いについて語る。
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2024年のF1世界チャンピオン、マックス・フェルスタッペン。このことを予想していなかった人は手を上げてほしい! そう、少々皮肉に聞こえるかもしれないが、真実は、オランダ人ドライバーが素晴らしいシーズンを終えたということだ。そして、それを祝う価値があると思う。もちろん、新しいチャンピオンが誕生する方がよかったという人もいるだろう。特にフェルスタッペンにとっては4回連続のタイトルだからだ。しかし正直に言って、あらゆることを考慮すると、私たちは2024年シーズンに満足するべきだと思う。
もちろん、この記事を書いている時点では、ヤス・マリーナでのマクラーレンとフェラーリが争うコンストラクターズタイトルがまだ残っている。ちなみに、私は前者に賭ける。シーズン最後のレースでも私たちを楽しませてくれるだろう。本題に戻ると、フェルスタッペンとランド・ノリスのタイトル争いが今年の大きな話題であったことは否定できない。
理由のひとつとして、マクラーレンが2023年から2024年にかけてこれほど大きな飛躍を遂げるとは誰も予想していなかった。シーズンが始まった時でさえ、現実的なこととは思えなかった。それにもかかわらず、第6戦マイアミGP以降、マクラーレンは突如として週ごとに競争力を発揮するようになった。これにより、ノリスは飛躍的なシーズンを迎えることができたのだ。この数年間、ノリスはパドックで最もカリスマ性のあるドライバーのひとりだった。彼は適切なツールが与えられればレースの勝者となり、タイトル候補になる可能性を持つということが裏付けられた。
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一方でフェルスタッペンは4度の世界チャンピオンであり、F1で勝利とチャンピオンシップを争う上でもはるかに多くの経験を持っている。
誰もが理解しているように、スポーツはスポーツそのものだけではない。つまり、優れたサッカー選手とは、ただ速く走ったり、強くボールを蹴ったりできる選手ではないということだ。選手はゲームを技術的に理解する必要があり、知的、感情的観点から賢明にならなければならない。それはレーシングドライバーにも言えることだ。マシンを理解し、パフォーマンスを最大限に引き出すことがいかに重要であるかを考えると、同じことが当てはまる。あるいは、それ以上かもしれない。
つまり率直に言うと、フェルスタッペンの方がノリスよりずっと賢明だと私は思う。ノリスは確かに才能があり、技術的なレベルでは自分のマシンを十分理解していると確信しているが、その点ではフェルスタッペンがはるかに先を行っている。それは彼のドライビングを見れば明らかだ。たとえ彼が時々熱くなりすぎて、少々激しく戦いすぎたとしてもだ。
さらに私の個人的な観点から言えば、今年フェルスタッペンとノリスを分けたもっと重要な要素がある。マックスは感情をコントロールすることができ、自分のマシンが競争力のないレースでは、勝つことが必須条件ではないことを理解していた。ノリスは、特に最初の数周では不安定になりすぎることが多かった。マクラーレンのスタートシステムがそれほどよくない可能性もあるが、ノリスはスタートと最初の数周で緊張しすぎていた印象だ。
もちろん、シーズン序盤にマクラーレンがチームオーダーを適用することを望まなかった、あるいは適用できなかったことで、ノリスに必要のないプレッシャーが加わったと言っても過言ではない。今年私がこれまでに述べたように、彼はすでにハンターとして、そしてかなり後方から追い上げるという課題を抱えていた。すべてのポイントが重要であり、41ポイント差ではなく38ポイント差であることが心理的に重要な場合もある。そうした意味では、マクラーレンとノリスはそれぞれが何を改善できたかこの冬に話し合いの場を持つ必要があるだろう。
私はノリスにとってもっとよいサポートシステムが必要だと思う。彼がより安全に、より安心して、レースで全力を尽くすことに集中できるための人々、友人、そしてチーム自体のことだ。ノリスのサポートにはマクラーレンもより困難な仕事に直面することになるだろう。
それはなぜか? そう、オスカー・ピアストリというドライバーがいるからだ。彼はセカンドドライバーになることを望まず、チャンピオンになるための才能、知性、冷静なアプローチを持っていることを何度も示してきた。もしこのオーストラリア人が2025年に速さでチームメイトに肩を並べることができれば、マクラーレンにとってより有望なドライバーとなる可能性がある。
では、チーム内部の真の戦いを巧みに利用できるほど賢明なのは誰か? もちろんフェルスタッペンだ。しかしまず、レッドブルがホンダエンジンを搭載する最後のマシンに競争力があることを確認する必要があるだろう。
ところで、12月1日にフェルスタッペンがダブル優勝を飾ったことをご存知だろうか? マックスがカタールGPで優勝していた一方、彼の父親のヨスはスパ・ラリーで優勝し、今年7度目の総合優勝を果たしたのだ。彼らは勝つことをやめられないのだ!
歴史に残るもうひとつの逸話がある。フェルスタッペンがセルジオ・ペレスに対してしたように、世界チャンピオンがチームメイトをこれほど大きな差で破った最後の例は、1994年のミハエル・シューマッハーとヨス・フェルスタッペンなのだ。なんと皮肉なことだろう!
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(Alex Garcia/Translation: AKARAG)
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