マクラーレンの失策に、ライバルたちが驚き「セーフティカーが出たらピットイン以外に選択肢はなかった。理解できない」
マクラーレンはF1カタールGPでほぼ確実と思われた勝利を投げ捨て、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)をタイトル争いに引き戻した。7周目の終わりにセーフティカーが導入された際、どちらのドライバーも即座にピットへ入れなかったことが敗因だ。
他チームはすべて両ドライバーをすぐさまピットへ呼び込んだ(ハースのエステバン・オコンのみペナルティ消化のため1周余分に走行)。この時点で、マクラーレンが重大な誤りを犯したことは明白であり、それによってオスカー・ピアストリからは楽に手に入れられた勝利を、ランド・ノリスからは確実な3位表彰台を奪うことになった。
レース終了後、マクラーレンのライバルのすべてが、その判断の理由を理解できないとして、驚きを隠さなかった。マクラーレン2台がコース上に留まったのを見た時の感想を問われたフェルスタッペンは笑みを浮かべ、「面白い動きだと思った」と語った。
「その時点で少しギャップはあったが、25周もタイヤを持たせる必要があった。それでも勝てる可能性が大きいと思った」

レッドブルのチーム代表ローレン・メキースも「驚いた」と述べ、「レース後に正しい戦略を言うのは簡単だ。だが我々は事前に『ピットインするチャンスが訪れた最初の周に必ず入る』と決めていた。だから非常に驚いた」と振り返った。
フェラーリのフレデリック・バスール代表も、マクラーレンの判断に困惑したという。
「正直理解できなかった。私にとっては、7周目にセーフティカーが出たなら、ピットに入るのは明らかだったからだ。ピットレーンで渋滞し、2台のうちのどちらかに有利になるのを恐れたのかもしれない」
メルセデスのトト・ウォルフ代表は、チームとしてそういった状況に備えていたと明かした。
「誰もがベストを尽くそうとしている。我々は朝にこの件について話し合った。退屈な戦略だが、あの段階でセーフティカーが出たら、それを利用する以外に選択肢はない。入らなければ、セーフティカー下で行えるピットストップ分のメリットを丸々失うことになる。結局、その後でピットに入らなければならないのだから」
「彼らは(戦略の)柔軟性を残したかったのだろう。しかしそれは結局は損をする選択だった。だから、なぜそうしたのか分からない」
ウォルフは、現在マクラーレンが置かれているプレッシャーがかかった状況について触れ、「我々も同じ立場に立ったことがある。これはマックスが勝つかどうかというより、マクラーレンが失うかどうかという状況だ」と述べた。
「後ろから追うほうが常に楽なものだ。もしマックスがタイトルを取ったなら、それは信じられないような逆転劇になる」

マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、レース後、チームの判断が誤っていたことを認めた。
「他の全員がピットに入るとは予想していなかった。後続が全員入るなら、それが正しい選択になるのは明らかだ」
「先頭にいると他がどう動くか正確には分からない。ダブルスタックで2台を同時に入れれば、ランドが時間を失う可能性があった。しかし主な理由は、他の全員が入るとは思わなかったことだ。結果的にそれは誤った判断だった」
ステラは「今日速かったライバルに、ピットストップ1回分のアドバンテージを渡してしまった」と認めた。
「もちろん理由があってそうした。ピット後に渋滞に巻き込まれたくなかったのだ。しかし他の全員が、異なる判断の下で、7周目、セーフティカー下でのピットを選んだ。全員がピットインした場合、我々だけがステイアウトしたことは、レース結果という観点から、誤りだ。ライバルが速く、タイヤの劣化も少なかったため、この判断は大きな痛手となった。オスカーはレースを支配しており、勝利に値した。ランドは表彰台を失った」
