2025.11.26

ジャンプスタート裁定にメルセデス陣営も困惑「なんで?」「我々もわからない。調査中だ」【F1第22戦無線レビュー(2)】


2025年F1第22戦ラスベガスGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
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 2025年F1第22戦ラスベガスGP。レース終了後、マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリに失格の裁定が下されたため、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)はふたつ順位が繰り上がり3位に入賞した。スタートではジャンプスタートがあったとしてペナルティを受けたアントネッリだったが、その後は2周目に交換したハードタイヤで好ペースを披露しポジションを守り続けた。ラスベガスGP後半を無線とともに振り返る。

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 予選17番手、Q1落ちを喫したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)だったが、目覚ましいペースで17周目には12番手まで順位を上げた。

17周目
アントネッリ:いいペースだよね。
ピーター・ボニントン:いいぞ。

 11番グリッドスタートのニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)も好調だった。

スティーブン・ぺトリック:(オリバー・)ベアマンを抜くぞ。
ヒュルケンベルグ:ああ、もちろんだ。

 ヒュルケンベルグはベアマンを鮮やかに抜き去り、8番手に上がった。

ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)
2025年F1第22戦ラスベガスGP ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜きあぐねていた3番手ランド・ノリス(マクラーレン)だったが、この周にラッセルがピットインしたことでようやく前が開き、首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)追撃体制に入った。

18周目
ウィル・ジョゼフ:チャンスが来たぞ。ペースアップして行こう。
ノリス:クリーンエアになったからね。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2025年F1第22戦ラスベガスGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 この時点で11番手のアントネッリが、5秒ペナルティを知らされた。

19周目
ボニントン:ジャンプスタートで5秒ペナルティだ。データ上は何も出いてないが、わずかに動いたらしい。
アントネッリ:ええ? なんで?
ボニントン:我々もわからない。調査中だ。

 5番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、先行するシャルル・ルクレール(フェラーリ)との2秒前後の差をなかなか詰められずにいた。

21周目
トム・スタラード(→ピアストリ):ボックスだ。ピットインしてルクレールを抜くぞ。

 10番手でコース復帰。22周目には、3番手カルロス・サインツ(ウイリアムズ)もピットイン。コース復帰したサインツがわずかに先行したが、ピアストリがストレートでオーバーテイクに成功した。

スタラード(→ピアストリ):ルクレールとの差は19秒。いいぞ。

 ピットタイムロスは20秒以上あり、ルクレールのピットインでピアストリが先行できる計算だ。24周目にピットインしたルクレールは、2秒後方でコース復帰。ピアストリはサインツ、ルクレール2台の前に出ることに成功した。

 31周目、アントネッリは4番手まで順位を上げていた。すでにハードタイヤで30周を周回しているが、ペースは落ちていない。

アントネッリ:このままタイヤを持たせる走りで行く?
ボニントン:ペースを見る必要がある。タイヤの限界を探っているところだ。
アントネッリ:このペースで行けるよ。
ボニントン:あと20周だ。後ろのピアストリは3秒差。ラップタイムは(1分)34秒9だ。

 一方、チームメイトのラッセルは、3番手ノリスにみるみる差を詰められていた。

32周目
マーカス・ダドリー(→ラッセル):ターン11でもっとタイヤを持たせよう。

ノリス:ジョージは何を訴えているの?
ジョゼフ:タイヤだ。もっと持たせろと指示された。メルセデスは、2台とも同じだ。

ラッセル:ノリスが速いのはわかっている。でも無理したくはない。馬鹿げたことをして表彰台をふいにしたくない。

 34周目、ラッセルはノリスにあっさり抜かれていった。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第22戦ラスベガスGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

ジョゼフ(→ノリス):いいぞ。このままマックスを追うぞ。

35周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):マックス、ノリスは君を追うように指示されてる。ターン17、5、11でタイヤを休めている。

 直後にフェルスタッペンは1分34秒216の最速タイムを叩き出し、差を5秒以上に広げた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第22戦ラスベガスGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

ハミルトン:タイヤがよくない。このままだと抜かれる。
アダミ:ペースを上げろ。(1分)34秒7まで上げるんだ。

ハミルトン:ダメだ。ペースが伸びないよ。
アダミ:了解。

 ハミルトンはエステバン・オコン(ハース)に1秒近くまで迫られながらも、なんとか10位チェッカーを受けた。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第22戦ラスベガスGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)

ジョゼフ(→ノリス):ランド、ターン14でブレーキングを遅らせて抜きに行こう。毎周トライするんだ。

 後方では5番手ピアストリにルクレールが迫るが、抜きあぐねる展開が続いた。

39周目
ルクレール:このまま抜けないと、後ろのカルロスに追いつかれる。直線スピードが全然ない!
ボッツィ:チャールズ、その調子で行け。冷静に。

47周目
ノリス:この走りでハッピー?
ジョゼフ:ああ。まだターン14で抜けるぞ。

 しかし6秒以内のギャップをキープしていたノリスは、ここから急激に引き離されていった。

ランビアーゼ:マックス、あと3周だ。ギャップは9秒6。ランドは何か問題が出たようだ。
フェルスタッペン:他に誰か近づいている?
ランビアーゼ:いや。(ノリスは)ラッセルとの差を縮めないようにしてる。

 フェルスタッペンは1周目に奪った首位を守り続け、今季6勝目を挙げた。

ランビアーゼ:すごすぎるよ、マックス。
フェルスタッペン:シンプリー・ラブリーだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第22戦ラスベガスGP 今季6勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 そしてアントネッリは、4番手でチェッカーを受け、5秒ペナルティによりこの時点では5位となった。

ボニントン:最高だ。
アントネッリ:なんてレースだ。
ボニントン:まったくだ。5秒ペナルティを受けたのに、5位だからね。
トト・ウォルフ代表:凄かったぞ、キミ。地球外レベルのペースだった。

 ヒュルケンベルグは9位チェッカーだった。

ペトリック:ラバーを拾って戻ってこい。
ヒュルケンベルグ:コース上は綺麗すぎて、ラバーなんてどこにもないよ。
ペトリック:了解。

 そしてレース後、マクラーレン2台に失格裁定が下る。その結果、ラッセル、アントネッリは2、3位。ヒュルケンベルグも7位に繰り上がった。



(Text : Kunio Shibata)

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