アストンマーティン代表、ニューウェイの権限に不満か。交代説が浮上、後任にはホーナーらの名前も
アストンマーティンは、チーム代表を再度交代させるかもしれない。現代表でエンジンの専門家であるアンディ・コーウェルは社内の別の役職に就くものと予想されており、クリスチャン・ホーナーとアンドレア・ザイドルが彼の後任の最有力候補として挙げられている。F1第22戦ラスベガスGPのパドックでは、コーウェルがチーム代表を間もなく退任するという噂が飛び交っていたが、アストンマーティンはそれについてコメントを控えていた。これは火のないところに煙は立たないというサインだ。
コーウェルは今年初めに、アストンマーティンF1のチーム代表兼CEOに就任した。前チーム代表のマイク・クラックがチーフトラックサイドオフィサーに就任したためだが、今度は2026年からアストンマーティンのマシンを動かすホンダのパワーユニットの統合と開発において、同社と緊密に協力するための役割に移るものとみられる。

クラックは、2022年の初めにオットマー・サフナウアーがチームを離れてアルピーヌF1チームに加わった際に、経験豊富な彼の後任となったが、チーム代表の職はわずか3年しか続かなかった。サフナウアーは10年以上シルバーストンを拠点とするチームに在籍し、元チームオーナーのビジェイ・マリヤや、彼を補佐していたボブ・ファーンリーと緊密に連携していたが、チームをローレンス・ストロールが買収して以降、最初にチームを退団した人物となった。
コーウェルはCEO兼チーム代表としてアストンマーティンの組織の重要人物となっていたが、今年エイドリアン・ニューウェイがマネージングテクニカルパートナーとしてチームに加入したことで、社内の力学に変化が生じた。温厚なエンジニアであるニューウェイには、技術チームを彼の判断で自由に運営する権限が与えられた。コーウェルはこの状況とニューウェイの決定の一部に不満を抱いていたと思われ、ふたりの関係は緊張をはらんだものになった。

現在、コーウェルの後任候補としてふたりの名が挙がっている。レッドブルの元CEO兼チーム代表のクリスチャン・ホーナーと、マクラーレンの元チーム代表で、ザウバー・モータースポーツAGとザウバー・テクノロジーズAGのCEOを務めたアンドレアス・ザイドルがそのリストのトップに挙げられているが、その他にもアウディの現チーフオペレーティングオフィサーであるマッティア・ビノットが含まれているようだ。
ホーナーは7月初めにレッドブルを解雇された後、必死にF1に復帰しようとしてきたが、アストンマーティンに加入すればローレンス・ストロールの指揮下に入ることになり、ニューウェイの決定にどのような影響力も及ぼすことができなくなる。ホーナーの目標はいかなる制約もなくF1チームを運営することであるため、彼がその仕事を受け入れることは難しいだろうし、ザイドルについても同じことが言える。ザイドルは、解雇手当の一環としてアウディから高額の支払いを受けており、F1で新たな仕事を得る場合にはその手当のかなりの部分を放棄しなければならない可能性がある。そのため、ザイドルに多額の金銭を諦めさせるには相当に高いモチベーションが必要だろう。
確かなのは、アストンマーティンF1チーム体制のトップにもうすぐ新たな変化が起こり、今後はコーウェルが後方に控えることになるということだ。

