【F1前半戦レビュー:フェラーリの“プラス”と“マイナス”】バスールの優れた統率力。“ダウングレード”で失速
F1前半戦が終了した段階で、ベテランジャーナリストのピーター・ナイガード氏が、全10チームそれぞれの良かった点と悪かった点を挙げる形で、ここまでの14戦の戦いを振り返った。今回は、コンストラクターズ選手権で3位に位置するフェラーリの前半戦レビューだ。
──────────────────
2023年初めにフェラーリに加入したフレデリック・バスールは、過去10年でのスクーデリアの5人目のチーム代表に当たる。ステファノ・ドメニカリ、マルコ・マティアッチ(2014年)、マウリツィオ・アリバベーネ(2015年〜2018年)、マッティア・ビノット(2019年〜2022年)に続いてチーム代表に就任したバスールが、前任者たちより長くその座にとどまるという保証はない。しかし、2024年序盤の段階で、バスールは、フェラーリが必要としている長期的なソリューションになるかもしれないことが証明された。
この18カ月、バルースは、自身の組織を構築、それがチームにとって必要だった安定性をもたらしている。
確かに、バスールの統治下で、大勢の人々がマラネロから去り、エンリコ・カルディレのアストンマーティンへの移籍でその流れが終わるとは限らない。一方で、バスールは、以前メルセデスに所属したロイック・セラやジェローム・ダンブロジオといった新しい人材を獲得した。バスールには良い組織を作る能力があり、それによってフェラーリはより強力で安定したチームになりつつある。
2024年シーズン前半にマクラーレンとメルセデスがマシンを大幅に改善したのに対し、フェラーリの開発は期待外れに終わった。
スペインGPで導入したアップグレードにより、ダウンフォースは増加したものの、新しいフロアは高速コーナーで幾分のバウンシングを引き起こした。この問題は早期に解決することができないということが判明し、イギリスGPでフェラーリは旧型と新型のフロアを比較する作業を実施。興味深いことに、というより憂慮すべきことに、その時点でフェラーリは旧型に戻すことを決めた。
コンストラクターズチャンピオンシップは、チームがシーズンを通してどのようにマシンを開発していくかに大きく左右される。2024年のような接戦のシーズンでは、特にその傾向は強い。フェラーリはアップグレードの失敗によって、重要な勢いを失った。
コンストラクターズ選手権の順位:3位
チームメイト勝敗(予選):ルクレール対サインツ 8:5
チームメイト勝敗(スプリント予選):ルクレール対サインツ 1:2
チームメイト勝敗(ポイント):ルクレール対サインツ 177:162
チームメイト勝敗(予選):ルクレール対ベアマン 1:0
チームメイト勝敗(ポイント):ルクレール対ベアマン 16:6(サウジアラビアGPのみ)
2025年の予定ラインアップ:シャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトン