相談なしに進むトラック改修に不満を募らせるF1ドライバーたち。コースの特徴を殺す変更を「残念に思う」
F1イタリアGPの舞台となるモンツァ。同地で行われた大規模なトラック改修は、ドライバーたちに相談されることなく実施されたが、彼らはそれに満足しなかったと言わざるを得ない。
イタリアの有名なサーキットおいて非常にユニークな特徴だった高い縁石が撤去されたことを、ドライバーたちは激しく批判した。モンツァで優勝経験のあるダニエル・リカルド(RB)は、この変更にもっとも不満を抱いたドライバーのひとりだった。
角田裕毅のチームメイトである彼は、「誰も僕たちに相談してくれなかった……。僕たちに相談した唯一のサーキットはモントリオール(ジル・ビルヌーブ・サーキット/カナダ)だったけれど結果は最高で、僕たちは皆、彼らの仕事を称賛した。なぜなら、舗装はやり直されたけれど縁石はそのまま残してあったからだ」と述べた。
「もし、モントリオールに平らな縁石が作られたら、僕たちは誰もいつものような満面の笑みでそこを走ることはできないだろう。つまり、縁石でそれほどまでに変わるんだ」
「だから、僕たちは心から『知らせてくれてありがとう。今では皆がはるかに満足している』と伝えたんだ」
モンツァや他のサーキットに関してリカルドは次のように付け加えた。「僕たちの意見が反映されないまま、多くのことが抜け落ちているようだ」
「僕たちに決定権はないし、必ずしも僕たちの意見が優先される必要もないが、少なくともフィードバックを伝えさせてほしい。もしかしたら、僕たちは彼らが支払う費用を少なくすることができるかもしれない。『縁石を変える必要はないよ』といった具合にね」
「おそらく、もっとコスト効率のよい解決策があるだろう」
「僕たちは今も蚊帳の外に置かれているときがあると思う。結局のところ、最後には僕たちがドライブしているんだ。繰り返すが、僕たちが最終決定を下すわけではないけれど、少なくとも僕たちの意見を聞いて、車内の視点からの意見だけでも伝えさせてほしい」
グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)理事のジョージ・ラッセルはリカルドの意見に同意し、「これまで何度も話してきたことだが、コースに変更があった場合、ドライバーは最後にそれを知ることが多い」と説明した。
メルセデスのドライバーは、とくに最終シケイン(ターン8〜10)の有名な縁石が撤去されたことに憤慨し、次のように語った。「たとえば、アスカリ(・シケイン)はとても特徴的だったから、改修後の姿は少々残念だ。縁石が変わったことで、あのコーナーはそれほど印象的なものではなくなると思う」
「正直に言って、誰がこうした決定を下しているのか、僕には分からない。FIA国際自動車連盟ではないと思う。サーキットが決めることだと考えている。シーズン全体と、さまざまなカテゴリーに向けてサーキットが設計されていることに感謝しなければならないとは思うが、素晴らしい特徴を備えたこれらの昔ながらのサーキットには、そのわずかな“コスト”を守る必要がある、と僕たちはつねに言ってきたつもりだ」
また、モンツァの最終シケインの入り口にあった、とくに高さのある内側の縁石が撤去されたことは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にとって好ましくないことだった。
彼は件のシケインについて「様子を見るしかない」と述べた。
「走っていない段階では、簡単に見える。僕たちがそこを通過するときには、(以前なら)そうはならなかったはずだ」
ピアストリは、わずかな期待を込め次のように締めくくった。「たとえばアスカリの縁石は、僕たちが訪れる多くの場所とはずいぶん違うものだったけれど、今ではとても平坦になっている。とてもクールな、歴史的トラックの特徴が奪われていないことを願うばかりだ」