2014.07.13

【毒舌パドック裏話】
イギリスGP編(2):これは芸術作品?


(c)xpb

■これは芸術作品?
 ドイツで贈賄罪の訴訟に忙しいバーニー・エクレストンが、“地元”シルバーストンのイベントに姿を見せていた。親分の到着を前に取り巻き連中がモーターホームの外で何やら立ち働いているので行って見たら、新しく届いたとかいうオブジェの梱包を解いているところだった。

 百聞は一見に如かず、まずは現物をご覧いただこう。ヘルメット姿の裸体からエグゾーストと覚しき配管が生えた、実に気味の悪い彫像。これほど醜い芸術作品(そう呼べるとして)を見たのは初めて。誰かがそれをバーニーに指摘すべきだったが、きっと勇気がなくてできなかったのだろう。

“いい趣味はカネでは買えない”ことを証明する格好の例が、またひとつF1に増えたことになる。ふと気になって数えてみたら、人体から生えたパイプは合計8本だった。今年からV6エンジンに変わり、エグゾーストも6本に減っているので、タイムリーさという点でも残念な作品だ。ある同僚が、「人体から出るエグゾースト(排泄物)なんだからパイプを差す場所が違くね?」と言っていたが、これはまあ無視していいだろう。

(c)xpb
■地元優勝でゴキゲンなルイス
 “地元”レースを制して喜色満面、というか、少しホッとした表情さえ伺えたルイス・ハミルトン。いつになくリラックスした様子で、サンタンデルが用意したトロフィーが「ショボい」と軽口を叩いていた。

 どれほど高給を食んでいても、表彰台で掲げるトロフィーはドライバーにとって特別なもの。その埋め合わせというわけではなかろうが、オーガーナイザーがあの有名なブリティッシュGPゴールド・トロフィーをほかに用意していて、それを貰ったルイスは心底嬉しそうだった。
 優勝記者会見でもルイスのゴキゲンムードは変わらず、ロスの下町で育ったかのような普段の口調を改め、まことにイギリス人らしいクイーンズ・イングリッシュで受け答えしていた。

 これも“地元”つながりの話題になるが、次戦ドイツはニコ・ロズベルグにとってホーム・イベントには当たらない、とルイスがチームメイトを牽制する場面も。

 父のケケはフィンランド人だし、ニコは人生の大半をモナコで過ごしているから、なのだそうだ。「だって、カートで走ってたときの彼は、いつだってモナコの旗のそばにいたもんな」と暴露したルイス。とは言っても、互いに笑顔で応酬しているところを見ると、ルイスとニコの関係はすこぶる良好らしい。

 無線の遣り取りで敵愾心を露わにしたアロンソとベッテルとは大違いだ。それにしても、当代きっての遣い手と謳われる二人が、才能と技術の限りを尽くして白熱の戦いを繰り広げながら、ヘルメットの中ではまるで赤ん坊のように泣き叫んでいる図を、いったいどう解釈したらいいのだろう? まあ、スゴいとしか言いようがないのだが…。

(c)xpb

|TOP|NEWS|