2014.07.12
【毒舌パドック裏話】
イギリスGP編:コリン・コレスが関わっているケースは・・・
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■コリン・コレスが関わっているケースは・・・
トニー・フェルナンデスは、所有していたケイターハムを売っ払ってしまったばかりなので当然だが、ここが自分のホームで云々とかの口上を述べることは一切なかった。チーム売却と言っても、必ずしも代金を受け取るわけじゃないのは、これまたF1にまつわるミステリーのひとつ。
この業界では、売買が金銭の授受を伴わないことの方がむしろ普通なのである。裏で大金が動いているはずなのに表向きは何も変わらない、というのもよくあること。取引にコリン・コレスが関わっているケースは、まあだいたいそうだ。
彼にチームを売却するのは、愛車を解体屋に引き取ってもらうのに似ていて、カネが入ってくるどころか、ヘタをすると処分料を取られかねない。
つまり、誰も欲しがらないものを買い取る、というコンセプトで彼の商売は成り立っているのだ。F1界の“廃品回収業者”、コリン・コレスの真骨頂は、文字通りクズを売り買いすることで儲けている、と言ったら言い過ぎだろうか。
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■モータースポーツの聖地
ブリティッシュGPの不思議なところは、F1を戦うほとんどすべての人々にとって、そこがホーム・イベントに当たるということだろう。モータースポーツの聖地(メッカ)とも呼ばれ、この産業を支える技術的インフラや人材がダントツに充実していること、それ故多くのチームがここにファクトリーを構えていることに由来する。
トロロッソは、本拠地はファエンツァだが、ウインド・トンネルは英国にあるので、ここがホームと言えないこともない。また、大半のドライバーはレース・キャリアを英国でスタートさせているので、やはりここを地元とする主張にはそれなりの根拠がある。
一見関係なさそうに思えるアラブ人やアジア人も、英国のF1チームに彼らの資金が流れ込んでいるのは(公表はしてないにしても)確実だから、彼らにとってもある意味でホーム・イベントということになるのだ。
唯一の例外があるとしたら、それはフェラーリ。長い歴史を誇るスクーデリアは、シャシーとエンジンの両方を製作する大規模なファクトリーをマラネロに構え、それどころか隣接地に自前のテストコースまで擁している。なので、ブリティッシュGPは、フェラーリにとって地元というよりはむしろ敵地と呼ぶに相応しいイベントだ。
ただし、1951年のその大会は、彼らが記念すべきGP初勝利を挙げた年でもあるので、“ヒストリック・イベント”という表現は成り立つだろう。